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第四話「懸念」 12月2日 2136時 海鳴市 セーフハウス 「どーーーーなってんのよ!」 先ほど起きたことに対してメリッサ・マオ曹長は困惑していた。 人が空を飛び、ASと切りあい、変な光線が空に向かって放たれたらヴェノムも 空を飛んでた護衛対象も姿を消した所を目撃したのだから当然と言えば当然だ。 「分からん。俺も目撃はしたが常識を超えていた。」 マオ・クルツ・宗介の3人はもう5回ほどお互いの頬をつねった。 その痛みが、これが紛れも無い現実だと伝えてくる。 「正直言って、この街でなにが起きてるか分からないわ。ただ確実に分かることは 私達の常識外のことが起きている事とアマルガムが絡んでるということだけね。」 空を飛ぶ人のことや夜空に放たれた光線は置いといて、現実的な問題はヴェノムについてのことだ。 ラムダ・ドライバ搭載型ASが現れた以上、M9でも荷が重い。 あと3機、それに装備が充実していればの話である。 今回の護衛任務には40ミリライフル砲と単分子カッターしか持ってきていない。 「対抗するには、アーバレストを寄越してもらうしかないのではないか?」 「そうねぇ。一応言ってみるとするか。」 支援要請のため衛星通信機に向かうマオ、宗介とクルツはまたお互いの頬をつねっている。 「ソースケよ。M9の映像記録を見なけりゃ誰も信じないだろうな。 いや加工された映像だと思うだろうぜ、普通」 「肯定だ、現在圧倒的に情報が不足している。この街で何が起こってるか知る必要がある。」 つねったまま今日の戦闘の映像記録のことを話し合う2人 「ところで、そろそろ手を離せよ。」 「そっちこそ離したらどうだ?」 お互い一向に離す気配は無い、むしろつねる力が強くなってきている。 「止めな。状況がよく分からないし、提出した映像も訳わかんないものであることは事実よ。 アーバレストについては追って返答するだって、なんか研究部の連中が来てるらしいわ。」 「研究部がかよ。あいつらの研究は俺達の生存率を上げる為のものじゃねえのかよ。 率先して足引っ張りやがって。」 「仕方ないわよ。ラムダ・ドライバの研究はミスリル全体の生存率を上げることになるんだから それに先日の香港の事件のときにラムダ・ドライバが複数回発動したでしょ? 機体への影響とかについてじっくり調べたいんだって」 アーバレストは、確かに香港事件でも上層部は出し惜しみをした。 ミスリル唯一のラムダ・ドライバ搭載機である、あれを失うことは出切るだけ避けたいのだろう。 もしくは、失っても代替が利くように研究しておく必要がある。 「そうか。しかし、あの無人地帯ができない限り奴等もそう簡単に手を出すこともできんだろう。 気をつけるべきは、日常生活における拉致だ。」 貧しい装備で戦うことは慣れていたし、M9でも戦い方次第ではヴェノム相手であっても何とかなる。 宗介の言葉に他の二人は頷き、この場の議論はそれで終了した。 同日 同時刻 海鳴市 八神家 「いや、明日の朝に入ることにする。」 シグナムはそういって風呂の勧めを断り、リビングルームに残った。 「今日の戦闘か?」 「聡いな、その通りだ。テスタロッサと言う魔導師に、あの傀儡兵・・・」 上着と長袖を捲り上げると、そこには痣ができていた。 「魔導師にしては、いいセンスをしていた。良い師に学んだのだろうな。武器が違ったならどうなったか・・・ それにお前達は見ていなかっただろうが、あの傀儡兵には妙な機能がついていた。」 「妙な機能?」 「完全に決まったと思われた攻撃がギリギリで見えない壁のようなものに防がれた。 しかもご丁寧にそれを使って逆襲してきた。」 「大型の傀儡兵に装備されているバリア機能ではないのか?」 「違う、通常のやつは防御一辺倒のものだ。あれは明らかに攻撃の機能も備わっている。 それに恐らくあれは管理局の物ではない、ヴィータの話では警告なしで攻撃してきた聞く。 管理局なら質量兵器は使わない上に攻撃する前に決まり文句を必ず言う。」 あごに手を当て考え込むシグナム 管理局でもないなら傀儡兵は、やはりこの世界のものか? しかし、よくニュース番組に出てくる傀儡兵―――この世界ではASというのだったか? と今日見たものは、かなり相違点があったが・・・。 「言ってなかったが、あの場所、いやあの傀儡兵から昼間に話したのと同じ臭いがした。」 ふと、ザフィーラは思い出したように言った。 「お前が言う刺激臭か?」 ああ、とザフィーラは頷いた。 この近くにやつが潜んでいるということか・・・? 「ザフィーラ、その臭いは今でもしているのか?」 「今はしない。するようになったら報告する。」 「そうか・・・今日は、もう動かないのかも知れんな。明日にでも調べるとしよう。」 シグナムは闇の書を持ち窓から外を眺め、これからどうするかという事に思いを廻らした。 同日 同時刻 時空管理局医療ブロック ずきりという痛みでなのはは目覚めた 「ここは・・・?」 辺りには見たことの無い機械が、ずらりと並んでいる。 規則正しくリズムを刻むこれは心電図だろうか? どちらにしても触らないほうがいいと判断し、しばらくぼうっとする。 (レイジング・ハート大丈夫かな?) 相棒を自らの弱さで傷つけてしまった後悔が脳裏をよぎる。 そんなことを10分ばかり考えていると部屋のドアが開き、白衣を着た男の人が入ってきた。 「おお、目が覚めたかね。どこか痛むところはあるかい?」 「ええと、肩がちょっと・・・じゃなくて、ここどこですか?」 「ここは時空管理局本部にある医療施設だよ。・・・ふーむ、肩か。」 時空管理局本部、なのはにとって初めて訪れる場所だ。 話に聞くアースラのみんなの職場である。 フェイトちゃんも今はここでお世話になってるはずだ。 「うむ。リンカーコアは、もう回復を始めているね。若いからかな?」 耳慣れない単語が出てきて、なのはは少し首を傾ける。 後で、聞いて分かったことだが魔法を使う者なら誰もが持っている魔力の源であり 魔力吸収器官でもあるらしい、自分はそれが極端に小さくなっていたそうだ。 しばらくして、検査が終わり出て行く医者と入れ替わりにフェイトちゃんが入ってきた。 「なのは、大丈夫?」 「うん、私頑丈だから・・・でも」 でも、レイジング・ハートが・・・ 「レイジング・ハートは大丈夫だよ。今、エイミィが部品を発注してる。 それに、私もバルディッシュを」 辺りになんとも言えない雰囲気が流れる。 いけない、そう思い話題を変えるなのは 「久しぶりだね、こんな再会になっちゃったけど」 フェイトは、うんと答え二人の話題はこの半年間のことに移った。 同日 同時刻 時空管理局医療ブロック休憩所 ユーノとアルフは、休憩所でジュースを買っていた。 「それにしても、あいつら何者なんだい?クロノはなんか心当たりがあったみたいだけど」 「文献で見たことがあるけど彼女達はベルカの騎士だよ。 武器の形状をしているデバイスに、あのカートリッジ・システムは間違いない。」 「ベルカって、あのベルカかい?最近になって古代技術の復元作業が進んでる、あの?」 「うん、そのベルカだよ。実の所、復元の8割は終わってミッドチルダ式との ハイブリットである近代ベルカ式も一応完成してるらしいけど 最大の特徴であるカートリッジ・システムの安全性に関するデータが揃って無いから 一般にはまだ出回ってないらしい・・・。 なんで彼女達が失われたベルカ式を使ってるのか知らないけど、とても厄介な相手だよ。 集団戦法に優れたミッドチルダ式に徐々に駆逐されていったけど1対1なら無類の強さを誇ると文献にはあった。」 ジュースを片手にアルフに相手の正体を推測するユーノ、実際に相手をして彼女達の強さは痛いほど分かる。 自分より明らかに強いなのはを倒し、フェイトを追い詰めたと言う事実だけで証拠は充分だろう。 そして一定の自負がある自分の防御魔法も危うく破られかけた。 なのはがSLBで結界を破壊してくれなければ全滅していただろう。 「なのはだけじゃなく、フェイトまで傷つけるなんて・・・!」 主とその親友が、傷つけられたことを思い出したのか ギリっと握り拳を作りアルフは近くの壁を殴る。 幸い手加減はしているらしく壁は、へこまなかったがそれでも大きな音はした。 「うわ、何?今の音。」 「なにか、すごい音がしたぞ。」 「クロノにエイミィさん・・・。どうですか?レイジング・ハートとバルディッシュは」 「フレームはひどいことになってるけど、基本構造にはダメージが及んでないから 部品交換すれば元に戻るよ。あ、ちなみに部品は来週来るみたい。 ・・・・それからフェイトちゃんは、どこ? 担当の保護観察官の人との面接の時間だから呼びに来たけど」 それを聞きアルフは急いでフェイトを呼びに行った。 保護観察官の心証を悪くしてもいい事なんて無いからだ。 同日 2156時 ギル・グレアム提督の執務室 グレアムは自分の方針を述べ、フェイトに自分との約束を守れるか聞き なのはには自分の昔話を話した。 「さて、フェイト君が約束を守ってくれると確約してくれた以上、面接は終了だよ。 そういえば、今回の事件の担当はアースラになるんだって? 現場はいろいろと面倒なことになってると聞くが」 グレアムは、なのはやフェイト後ろで控えていたクロノに尋ねる。 「はい。もう知っていると思いますが今回の事件には、あの闇の書が関わってます。 さらに現地世界の傀儡兵・・・いえASという兵器が出現しました。」 「そうか、あまり熱くなってはいけないよ。」 「大丈夫です。折り合いはもう着けましたし、提督の教えは守ります。」 クロノが部屋から出て行くと、それになのはとフェイトも続いていく。 「クロノ、ASってなのはを助けた傀儡兵のこと?」 「ああ、なのはに聞いた所によるとアーム・スレイブという人が搭乗する兵器で 第97管理外世界の各国に配備されてるらしい。」 「うん。忍さんが詳しいから知ってたけど本物を見るのは、あれが初めてだよ。」 クロノの言葉に頷く、なのは 「ASについての情報はエイミィたちが収集してくれてる。 現実問題は第1級捜索指定ロストロギア『闇の書』についてだ。」 「『闇の書』?」 なのはとフェイトは同時に聞き返す。 「闇の書は魔力収集型のロストロギア、他人のリンカーコアを吸収してページを埋めていく。 666ページがすべて埋まったら完成するというものだ。」 「完成すると、どうなるの?」 「少なくともいいことだけは起きない。」 とだけクロノは答えた。 12月3日 1007時 海鳴市 市立図書館前 ザフィーラの散歩ついでに、はやて、シグナム、シャマルは図書館に寄る。 ちょうど、はやても返却しなければならない本があった。 ちなみにヴィータは家でまだ寝ており、お留守番である。 「しかし、珍しいなあ。シャマルも調べ物があるって、何について調べるん?」 答え難いことを聞いてくる主に、どう答えたものか迷うシャマル 「ええと、最近ヴィータちゃんがロボットアニメに嵌っちゃって それで、この世界にもASって言うロボットがあるって言ったら興味心身で・・・ だからヴィータちゃんのために図鑑みたいなものを探してるんですよ。」 嘘は言っていない。事実、月曜日のゴールデンタイムに放送しているロボットアニメ番組をヴィータは、はやてと一緒に見ていた。 その嵌り具合を知っているはやては、なるほどと納得してしまう。 しかし、実際は昨日の戦闘に現れたASについて調べるためだ。 「では、私はしばらくザフィーラとここの周りを散歩してきます。」 図書館に動物の立ち入りは厳禁なのである。 ではなく、調べ物はシャマルに任せ散歩と称した付近の見回りをするためだ。 それに・・・・ (シグナム、例の臭いだ。) ザフィーラが、家を出る際にシグナムに警告してきた。 だが殺気の類は全くなく、主の前でもある。一応、いつでも対応できるようにしていた。 しかし監視者がいるなら情報を得る絶好の機会だ。 そうして、ザフィーラが言う臭いの中心に向かって進んでゆく。 (ここら辺だ。) 流石にここまで来れば、ほんの微かだがシグナムにも臭いを感じることができる。 辺りを見渡しても、それらしい臭いの元になるものはない。 しかし臭いと気配を感じる虚空をシグナムとザフィーラは、じっと見つめ続けた。 前へ 目次へ 次へ
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窮奇退治は昌浩の完治まで、延期が決定した。敵はあの大妖怪、なるべく万全の状態で挑みたい。 昌浩が養生している間、一度だけ彰子が見舞いに来た。 自分がさらわれたせいで、昌浩が重傷を負ったと彰子は酷く気に病んでいた。 昌浩は彰子は励まそうと、必死に明るい話題を振った。その中で、彰子が蛍を見たことがないと言った。蛍の時期はとうに過ぎていたので、ならば来年一緒に蛍を見に行こうと昌浩は約束した。 その間、ヴィータが歯ぎしりせんばかりに不機嫌だったのに、昌浩は最後まで気がつかなかった。 数日もすると、昌浩は起き上がれるようになった。激しい運動は厳禁だが、それ以外の行動は大体許されている。シャマルの治癒術は本当に素晴らしい。出来るなら教えてもらいたいくらいだった。 昌浩は書物と睨めっこをしながら、円盤状の物体をからからと回していた。 「何してんだ?」 ヴィータが昌浩の手元を覗き込む。 昌浩が目が覚めましてからというもの、ヴィータは食事を運んでくれたり、何かと世話を焼いてくれる。あまりに優しいので、昌浩の方が戸惑っていた。 「これは占いの道具なんだ。窮奇の居場所が占えればと思ったんだけど」 結果は芳しくない。それにこれくらいのことは晴明がとっくにやっているだろう。晴明すらわからないことを、昌浩がわかるわけない。 「占いねぇ」 ヴィータは占いという奴がどうも信じられない。未来が本当に予知できるなら、未来はすでに決まっていることになる。努力するもしないもすべて決まっている。ならば、心は何のためにあるのか。 「あ、疑ってるな。よし、ならヴィータの未来を占ってやる」 昌浩が道具に手を伸ばす。 「おもしれぇ。やってみろ」 円盤がからからと回り、結果を示す。昌浩はじっとその結果を読み取ろうとする。 無言のまま、時間だけが過ぎていく。 「おい」 昌浩は真剣な顔のまま答えない。そのあまりに真剣な様子にヴィータが不安になる。 「まさか、よくない結果が……」 「ごめん。わからない」 「うーがー!」 ヴィータが吠えた。 「さんざん待たせて、なんだよ、それは!」 「ご、ごめん、だって見たことない形だったから」 昌浩は本で頭部をかばう。 「もう少し時間をちょうだい。きっと占ってみせるから」 「まったく。それでも晴明の孫かよ」 「あー! ヴィータまで孫って言ったー!」 「いやー。この台詞一度言ってみたかったんだよ」 「孫言うな!」 憤慨する昌浩を、ヴィータはきししと笑う。ふとその顔が疑問に染まる。 「お前、今何て言った?」 「孫言うな」 「その前だよ」 「えーと、ヴィータまで孫って言った、だったかな?」 「お前、名前……」 「ああ、ヴィータだよね。やっと言えるようになったよ」 昌浩はにっこりと笑う。 「いやぁ、苦労したよ。毎晩ヴィータ、ヴィータ、って繰り返し練習して」 ちなみにザフィーラの名前はまだ練習中だ。 「ヴィータ。これで合ってるんだよね?」 ヴィータの拳が昌浩の頭を叩く。 「な、何すんだよ、ヴィータ」 昌浩が頭を押さえてうずくまる。 ヴィータは拳を握りしめたまま、全身を震わせていた。 「ヴィータ?」 「気安く呼ぶんじゃねぇ!」 ヴィータが再び拳を振り下ろす。その顔が真っ赤に染まっていた。 「どうしたの、ヴィータ?」 「だから、繰り返すな~!」 ドタバタと暴れる音が屋敷中に響いていた。 「いやー。春だねぇ」 「夏だがな」 「連日快晴だねぇ」 「それはその通りだ」 もっくんとザフィーラは、昌浩の部屋の屋根の上で並んで日向ぼっこをしていた。 「昌浩についていなくていいのか?」 「そんな野暮はせんよ」 もっくんが後ろ脚でわしわしと首をかく。本人に自覚があるかどうかは知らないが、ヴィータの気持ちは傍から見れば明らかだ。 「すまんな。気を使わせて」 「いや、昌浩にとってもいいことだ」 「ほう。もっくんはあの彰子とかいう娘を応援しているのかと思ったが?」 「おっ。堅物かと思いきや、話せるねぇ。ただし、もっくん言うな。俺のことは騰蛇と呼べ」 「心得た」 「それで彰子に関してだが、結論から言って、あの二人は絶対に結ばれない」 もっくんは一転、厳しい表情になる。 「どういうことだ?」 「身分が違い過ぎる。かたやこの国一番の貴族の娘。かたやどうにか貴族の端に引っかかっている昌浩。あり得ないんだよ、この二人が結ばれるなんて」 「身分とはそんなに大事なのか?」 しょせん同じ人間ではないか。気にするほどの差があるとザフィーラには思えない。 「そうだな。お前たちの主は女か?」 ザフィーラの緊張が一気に高まる。 失言だったと、もっくんは詫びた。 「お前たちの主を詮索しようとしたわけじゃない。例えば、お前たちの主が女だったとしよう。もしお前が主に恋愛感情を抱いたら、どうなる?」 「なるほどな」 ザフィーラは遠い目になった。彼のはやてを敬愛する気持ちに、一片の曇りもない。しかし、それは決して恋愛感情ではない。 ザフィーラはあくまで守護獣、人間ではない。そんな自分と主が結ばれることはない。それなのに、主に恋心を抱けば、それはまさに地獄だろう。 「つまり、この国で身分とはそれほどの差ということだ」 しかも、彰子と天皇の結婚の準備が進められているという。晴明の占いでも、それはすでに決まった運命ということだった。もし運命を変えられる力があればと、もっくんは己の無力をこれほど呪ったことはない。 失恋から立ち直る一番早い方法は新しい恋を始めることだ。昌浩を好きなヴィータがそばにいてくれれば、これほどありがたいことはない。 「しかし、我らは……」 「わかっている。窮奇を倒したら帰るんだろう。それでもいいんだ。立ち直るきっかけになれば。それに二度と来れないわけじゃあるまい?」 「それもそうだな。その時は主も連れてこよう。きっと喜ばれる」 そう、きっと大丈夫だとザフィーラは思った。いつか主を含めた全員でこの地を訪れることができる。その時は、闇の書も完成し、主の命も助かっている。時空監理局から追われることもなくなっている。 我ながら虫のいい考えだと知りながら、そんな未来が来るのを願わずにいられない。 ザフィーラともっくんは雲一つない空を見上げた。 その頃、庭ではシグナムが見知らぬ女と対峙していた。女は黒い艶やかな髪を肩のあたりで切りそろえ、この時代では珍しい丈の短い服を着ている。十二神将の一人だろう。 六合と稽古の約束をしていたのだが、六合の姿はない。 「私の名は勾陣(こうちん)。六合は晴明の供で行ってしまってな。代わりに私が来たというわけだ」 「そうか。では、今日の相手は勾陣殿が?」 「ああ。せっかくだから、少し趣向をこらさないか?」 勾陣は三つ叉に別れた短剣を両手に持ち、宙を切り裂いた。空中に裂け目が走り、シグナムの体がその中に吸い込まれる。 シグナムが目を開けると、そこは砂と岩ばかりの荒涼とした大地が広がっていた。 「次元転移?」 「ここは我ら十二神将が住む異界だ。稽古もいいが、ここなら思う存分暴れられるぞ」 勾陣が口端を釣り上げる。氷のように鋭い酷薄な笑みだった。 シグナムも勾陣と同じ笑みを浮かべる。 「なるほど。より実戦的にというわけか」 「それと最初に言っておく。私は六合より強いぞ」 「面白い。では、いざ尋常に勝負!」 シグナムのレヴァンティンが炎をまとい、勾陣の魔力が炸裂する。 普段は静かな異界に、その日はいつまでも爆音が轟いていた。 夕刻、帰宅した晴明は昌浩の部屋に向かった。天皇と彰子の結婚が正式に決まったということだった。後は日取りを決めるのみ。今すぐということはないが、もはや二人の結婚は避けられない。 薄々感づいてはいたのだろう。昌浩は「そうですか」とだけ呟いた。 それからさらに数日が過ぎた。 昌浩は表面上は明るく振舞っていたが、時折沈んだ表情や物思いにふけることが多くなった。そして、以前にもまして窮奇を倒すべく猛勉強を始めた。まるで勉強に打ち込むことで、何かを忘れようとしているかのように。 早朝、昌浩は目を覚ますと素早く着替える。怪我の為、長期休みになってしまった。同僚にも迷惑をかけたし、今日は出仕するつもりだった。晴明から頼まれた仕事もある。 「よし。完全復活」 「ほう。よかったじゃないか」 今日はよほど早起きしたのか、ヴィータが戸口に立っていた。 「うん。これもヴィータたちのおかげだよ。本当にありがとう」 シャマルの魔法とヴィータの看護がなければ、まだろくに動けなかったに違いない。 「いやー。そう言ってもらえると、こっちもありがてぇよ」 ヴィータはのしのしと部屋に入ってくる。ヴィータは指で昌浩に座るように示す。 「大事な話?」 昌浩はまだ気づいていない。ヴィータの目がまったく笑っていないことに。 ヴィータは深く息を吸い込み、 「この大馬鹿がー!!」 大音量が安倍邸を揺らした。昌浩は耳を押さえて顔を引きつらせる。 ヴィータは指を鳴らしながら、昌浩に詰め寄る。 「お前が治る日を、どれだけ待ったことか。怪我人を怒鳴りつけるのは趣味じゃないからな。これで思いっきりやれる」 晴明から託された昌浩を叱る役をヴィータは忘れていない。それどころか世話を焼くことで、怒りが鎮火しないようにしていたのだ。ヴィータの怒りは最高潮に達していた。 「あの……ヴィータさん?」 「やかましい! そこに正座」 「はい!」 「大体お前は自分が怪我をしてどうするんだ。助けるにしたって、もっと上手くやれ!」 「いや、でも」 「言い訳するな!」 「ごめんなさい!」 ヴィータが機関銃のように怒鳴り続ける。昌浩はそれを黙って聞くしかなかった。 それから一刻の後、もっくんが昌浩の部屋を訪れと、晴れ晴れとした顔でヴィータが出てきた。 「いやー。ようやくすっとしたー」 もっくんが部屋の中を覗き込むと、そこには真っ白に燃え尽きた昌浩がいた。 その夜、昌浩が仕事を終えて帰ると、シグナムたちは晴明の部屋に集められていた。 「昌浩や。彰子様には会えたのか?」 「はい」 昌浩は寂しげに笑う。晴明の取り計らいで、昼頃、昌浩は彰子と対面していた。そこで昌浩は彰子に絶対に守ると誓った。誰の妻になってもいい。生涯をかけて彼女を守る。それが昌浩の誓いだった。 「それで窮奇の居場所は?」 「はい。貴船山だと思います」 都の北に位置する貴船山。そこには雨を司る龍神が祭られている。 窮奇が北に逃げたのと、ヴィータたちが来てからというもの、一度も雨が降っていない。それが根拠だった。おそらく窮奇によって封印されているのだろう。 「ならば、一刻の猶予もないな」 シグナムにとって、ここは楽園だった。六合や勾陣、他の神将たちとも、実は紅蓮とも、幾度も手合わせした。こんなに心躍る相手がいる世界をシグナムは知らない。 「そうだな」 ヴィータとて離れがたい気持ちはある。 しかし、八神はやてを救う為、二人は未練を振り切って立ち上がる。 「はやてちゃんの為にも、お願いね、みんな」 シャマルが転送の準備を開始する。それをザフィーラが咳払いで遮る。 シグナムとヴィータがじと目でシャマルを見つめていた。 「あっ」 うっかり、はやての名前を口に出してしまっていた。だらだらと脂汗がシャマルの顔を滴る。ちなみに、ヴィータは以前自分がはやての名前を出しことを覚えていない。 「わしは何も聞いておりませんぞ。なあ、昌浩や」 「えっ? ……ああ、はい。俺も何も聞いてないよ」 「二人とも、気を使わせてごめんね」 シャマルが涙目で感謝の意を告げる。 やがて緑の魔法陣が足元に出現する。 昌浩、もっくん、シグナム、ヴィータ、ザフィーラが、最終決戦の場へと飛んで行った。 その頃、アースラ艦内では、クロノたちが出撃の準備を進めていた。 「それでヴォルケンリッターの動きは?」 「それが変なの」 クロノの質問にエイミィが首を傾げた。 「あの世界、時間の流れが全然違うみたい」 アースラでは、クロノたちが青龍たちと戦ってから、一晩しか経っていない。それなのに、向こうでは半月以上の時間が経過しているようだった。 どうもその間、ヴォルケンリッターたちは原住生物と戦い続けているらしい。 「闇の書もかなり完成に近づいたということか。みんな、準備はいいか?」 クロノが集まったメンバーを見回す。 ユーノにアルフ、青い顔をしたなのはとフェイト。 「な、なのは、どうしたの?」 ユーノがなのはの顔を心配そうに覗き込む。 「ちょっとイメージトレーニングを」 なのはは車酔いをしたかのようにふらふらしていた。 青龍に備えて、父と兄に怒られた時のことを一晩中ずっと思い出していたのだ。 「フェイト、しっかりおしよ」 「……アルフ、大丈夫よ」 フェイトの使い魔のアルフが、フェイトの体を揺さぶる。それにフェイトは消え入りそうな声で答えた。 「エイミィ」 クロノが無言で逃げようとしていたエイミィの腕をむんずとつかんだ。 「フェイトに一体何をした?」 「ええと、頼まれてあの戦いの映像をちょっと……」 フェイトはフェイトで、あの戦いの映像を一晩見続けたのだ。しかもエイミィの好意で、男連中の顔を大写しにした編集版を。 苦手意識を克服しようと無理をすれば、かえって悪化する場合がある。なのはたちの負けず嫌いが今回は完全に裏目に出た。 クロノはユーノとアルフをつれて、部屋の隅に行った。 「いいか。男連中の相手は僕らでやる。二人には絶対に近づけるな。最悪、一生のトラウマになる恐れがある」 ユーノとアルフが決意を込めた表情で頷く。 そして、五人は転移を始めた。 目次へ 次へ
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スレ住人の皆様 その他単発SS・一発ネタ(5) キャロとバクラの人氏 リリカル☆ルーク クロス元:仮面ライダーキバ 355氏クロス元:COBRA Strikers May Cry氏 リリカルが如く クロス元:龍が如く リリカル・コア氏 リリカル・コア捏造依頼集その3 クロス元:アーマード・コア 367氏 無題(仮) クロス元:矛盾都市TOKYO 86代目スレ423氏 100万回生きたスカリエッティ クロス元:100万回生きたねこ ◆heZlW5Fk6U氏 Lyrical`s HIGH クロス元:TV s HIGH ◆heZlW5Fk6U氏 リリカルエンブリオ クロス元:ワールドエンブリオ ◆FIvCkC2XSg氏 巨大怪樹、海鳴を襲撃 クロス元:帰ってきたウルトラマン bigbridge氏 ―謎の男 on the bigbridge― クロス元:ファイナルファンタジー12 ◆9AuJCD5Ft6氏 『逆転の魔法少女』 クロス元:逆転裁判 リリカルルーニー氏 アイドル管理局リリカルなのはStrikerS クロス元:アイドル防衛隊ハミングバード ◆e4ZoADcJ/6氏 エース・オブ・エースの弟子ケンイチ クロス元:史上最強の弟子ケンイチ ◆9AuJCD5Ft6氏 『全力・全開!エルドラ∀´s』 クロス元:GUN×SWORD ◆e4ZoADcJ/6氏 ヤプール、ミッドへ行く クロス元:ウルトラマンエース リリカルルーニー氏 魔法少女リリカルなのはCST クロス元:Cute Sister TRPG R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA氏 魔法筋肉浪漫譚『リリカル漢魂!!!』クロス元:漢魂!!! ◆94CKshfbLA氏 魔法舞勇伝キタキタクロス元:舞勇伝キタキタ リリカルルーニー氏 なのはのバーニングクリスマス 前編 クロス元 Burnin X mas(TRPG) リリカルルーニー氏 なのはのバーニングクリスマス 後編 クロス元 Burnin X mas(TRPG) BLASSREITER LYRICAL氏 嘘予告 クロス元:多数あるため割愛 BLASSREITER LYRICAL氏 LYRICAL GARO クロス元:牙狼―GARO― リリレッド氏◆zn6obdUsOA 『魔法少女リリカルなのはStrikerS The Terminator Chronicle』 クロス元:ターミネーター2 ◆9AuJCD5Ft6氏 『メタナイトでゴー!ストライカーズ』 クロス元:星のカービィ ◆9AuJCD5Ft6氏 『全力全開 ゼンカイザー』 クロス元:エルドランシリーズ このページの先頭へ TOPページへ
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『スカリエッティ立ち上がったー! しかし顔面が血まみれだー!』 「こ…これは…血…?」 先程鉄柱に打ち付けられたせいもあってスカリエッティの顔面からは大量の血が 流れ出ていたのだが…スカリエッティはそれに対し信じられないと言った顔をしていた。 「な…何故血が…何故血が流れるのだ…。」 「そりゃ~攻撃を受ければ傷付いて血が出るのは当然じゃないか!」 万太郎も呆れていた。万太郎の過去の戦績は確かに超人オリンピック・ザ・レザレクション決勝の ケビンマスク戦を除いて全て勝ち星を上げている。だがどれも苦しい戦いだった。血を一滴も 流さずに勝利出来た試合など一つも無い。むしろ全身傷だらけ、血だらけになる試合もあった。 だからこそ今更血が出たくらいで驚かなくなっていたのだが…元々研究者であり、 改造によって自身の肉体を強化したスカリエッティは自らの流血に対する耐性が無かったのだろう。 「何故だ…何故だ…私は究極の肉体を手に入れたはずだ…。どんな攻撃にも耐えうる 強靭な肉体を作り上げたはずだ…なのに何故血が出る…? 何故だ…何故だ… 何故だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 『あーっとスカリエッティが物凄い形相となったー!』 スカリエッティは激怒した。自らの肉体に自身を持っていただけに… その肉体を流血させた万太郎が許せなかったのである。 「きぃぃぃさまぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「んぐぁ!!」 次の瞬間スカリエッティの鉄拳が万太郎の腹部に直撃し、万太郎が勢い良く吹っ飛んだ。 だが、それもロープに引っかかってその反動で勢い良く戻って来るのだが… 「死ぬぇぇぇぇぇ!!」 その戻って来た万太郎にスカリエッティの蹴りが炸裂する。そしてまた吹っ飛んだ後で ロープに引っかかって反動で戻って来た後でまた殴り飛ばされたり蹴り飛ばされたり… その繰り返しが始まってしまった。 『あーっとスカリエッティの猛攻が始まったー! 万太郎手も脚も出ないー!』 「やばい! やばいんじゃないのこれー!」 「うん! パターンが入ってしまった!」 格闘技にはいまいち詳しくないなのはとユーノでも万太郎がピンチだと言う事は理解出来た。 如何に人間を遥かに超越した耐久力を持つ超人でもアレだけの猛攻を受けて無事でいられるワケが無い。 だが…やはり万太郎は並の超人では無かった。 「あ…あんまり調子に乗っちゃダメだよ!」 ロープの反動で戻って来た所をまたもスカリエッティの追い討ちを受ける万太郎だが… 次の瞬間万太郎が肉のカーテンの体勢を取る事によってスカリエッティの拳を弾き返していた。 『あーっと万太郎! 今度は肉のカーテンで逆にスカリエッティの攻撃を弾き返したー!』 「うおおおお!」 「今度は僕の番だ! マンタロー飛び付き腕ひしぎ十字固め!!」 万太郎はバランスを崩したスカリエッティの腕に飛び付いて腕ひしぎ十字固めを仕掛けた。 『出た! 万太郎の腕ひしぎ十字固めー!』 『パワーで劣る分はテクニックでカバーしようと言う事ですね?』 「う…うおあああああ!!」 「このままお前の腕を圧し折ってやる!!」 スカリエッティは流血に対してのみならず、関節技に対する耐性も低かった。 無理も無い。敵との戦いや自ら鍛えると言う方法では無く、改造によって自らを強くしたのだ。 敵から関節技を直接受けた事が無いからこそ意外にも関節技に対する耐性が低かったのである。 「確かにお前のパワーは凄いよ! 超人強度に換算すれば1000万パワーにも達してる。 でも…テクニックに関してはてんでド素人だ!!」 「うおああああああ!!」 万太郎の超人強度は93万パワー。しかしそれでも万太郎は700万パワーの ザ・コンステレーションや1200万のボルトマン、1000万のリボーンアシュラマンなど 自身の何倍もの超人強度の相手と戦い、辛くも勝利を収めて来た。 その万太郎が冷静にスカリエッティの実力を考えた場合、上記の三人に比べて 見劣りする物を感じていた。何故なら上記の三人はただ超人強度の高さから来る 強大なパワーだけでは無く、それぞれのテクニックと言う物を持っていた。 特にリボーンアシュラマンなど、ジェネラルストーンによって身体は20代に若返っていたが、 実際は50歳以上の高齢であり、血気盛んな若々しい肉体と数々の戦いを経験したベテラン超人の 頭脳と精神を併せ持つと言う実質的な実力は1000万さえ遥かに超越した超人だった。 しかし万太郎は激闘の末、死の一歩手前まで追い込まれながらも何とかそのリボーンアシュラマンにも 勝利して来たのである。その時の苦しみに比べれば…もはやパワーだけのスカリエッティなど 怖くなくなっていた。 「ふざけるなぁぁぁ!! 貴様の様な生まれ付いての超人に私の考えが分かってたまるかぁ!!」 『あーっとスカリエッティ! 腕に組み付かれたまま万太郎をキャンバスに叩き付けようとするー!』 スカリエッティはパワーに任せて強引に万太郎をキャンバスに打ち付けようとするが… 「なんの! マッスルアーマー!!」 次の瞬間万太郎の背筋が盛り上がり、その弾力によって受身を取る事でキャンバスに 打ち付けられた衝撃を吸収し、さらにバウンドの勢いで逆にスカリエッティを後頭部から キャンバスに落としていたのである。 「うおぁぁぁ!!」 『万太郎の返し技を受けて後頭部を打ったスカリエッティ! かなり痛そうだー!』 「ほらね! やっぱりあんたはド素人だ! 受身もまるで出来てないじゃないか!」 「ふざけるなぁぁぁぁぁ!!」 頭をフラフラさせながらも怒りに任せて起き上がったスカリエッティは 万太郎に対し連続でパンチを放つ。しかし力任せな大振りのパンチは万太郎に一発も当たらない。 『スカリエッティのパンチの連射砲だー! しかし万太郎には当たらないー!』 「何故だ! 何故当たらん!?」 「そんな力任せなパンチなんか連発しちゃったら余計に体力消耗しちゃうだけだよー! 少しは力抜いてあげれば~?」 「うるさいだまれぇぇぇ!!」 万太郎もかつて力任せな攻撃が脱力した相手に破られて苦戦した事があったからこそ その様な事が言えた。スカリエッティが全身に無駄に力を込めて殴りかかって来るのに対し、 万太郎は全身の力を抜いて柔らかく柔軟性に富ませてスカリエッティのパンチをかわしていく。 かの鉄人「ルー・テーズ」も力を込めれば鋼の様に堅く、逆に力を抜けばゴムの様に しなやかな筋肉をしていたと言う。今の万太郎はそれを体言していたのである。 『なおもスカリエッティのラッシュが続くが万太郎には当たらないー!』 「何で何でだー!? 何であの豚男があんなに強いんだー!?」 「私達が何度袋叩きにしたか分からん奴なのに…。」 スカリエッティを観客席から応戦する戦闘機人達にはこういう状況でこそ真の 強さ…渋さを発揮する万太郎の強さが理解出来なかった。 「それじゃあ今度は僕の番だ!」 『今度は万太郎のパンチがスカリエッティの顔面に炸裂したー!』 万太郎のパンチがスカリエッティの顔面に連続で炸裂しスカリエッティは怯んだ。 ただでさえ万太郎に一発も当たらないと言うのに逆に万太郎に一発食らわされたのでは 身体的なダメージ以上に精神的なダメージが大きかった。 ラフファイターは攻撃を受けた事が無い為に逆にラフファイトに弱い。 これは万太郎が火事場のクソ力チャレンジの最終戦で戦ったノーリスペクトの一人、 ボーン・コールド戦で学んだ事であった。 「ブ…豚男が偉そうな口を叩くなぁぁぁぁ!!」 スカリエッティは万太郎の顔面を再び掴み上げた。そして何度も何度も振り回し… 「これで時空の彼方まで吹っ飛びやがれぇぇぇぇ!!」 『あっとスカリエッティ! 万太郎を凄い勢いで投げ飛ばしたー!』 『これは場外は必至ですよー!』 軽量な万太郎はまるで豪腕投手に投げられた野球ボールの様に吹っ飛んで行くが、そこでロープを掴む。 しかしそのロープでも勢いは殺せずに伸びる伸びる。もう観客席を飛び越えて聖王のゆりかごの 外にさえ出てしまっている。そこでやっとロープの伸びが止まっていたのだが、 万太郎はなおもロープを掴んだままだった。 「ならば…お前に本当の僕の力を見せてやる!! 火事場の…クソ力ぁぁぁぁぁ!!」 次の瞬間万太郎の額に赤く燃え上がる「肉」の文字が現れ、万太郎の全身が眩い オーラに包まれた。これこそ万太郎が内包するオーバーブースト「火事場のクソ力」なのである。 普段93万パワーしか無い万太郎もこの火事場のクソ力発動時にはパワーが何倍にもなる。 万太郎の父スグルも瞬間的に7000万ものパワーを発揮するクソ力を持ち、 神にさえ恐れられて潰されそうになった程の恐ろしい力なのだ。 『出たぁぁ! 万太郎の火事場のクソ力がついに発動したー!』 『今まで様々な奇跡の逆転ファイトを生み出して来た火事場のクソ力が今度は どんな奇跡を見せてくれるのでしょうかー! これは女房を質に入れても見逃せませんね!』 そして万太郎は何百メートルにも渡って伸びきったロープの反動を利用して まるで弓から強引に放たれた矢の様にスカリエッティ目掛けて突っ込んでいた。 前へ 目次へ 次へ
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本SSはグロテスクな部分がありますので、ご注意ください。 リリカルVSプレデター (前編) 広大な宇宙には人類が知り及ばぬモノが数多と存在する。 あるいは未知の異次元世界であり、あるいは思念のみで形成された意識体であり……そしてあるいは人類以外の知的生命体。 そう、“彼”は正に人類以外の知的生命体の種族だった。 爬虫類系生物から進化した彼の種族には、他の知的生命体にはない野蛮で常軌を逸した風習がある。 それは“狩猟”、それも生存の為の捕食としての狩ではない。それは生き甲斐とさえ呼べるほどの純然たる闘争欲求を満たす為だけのモノ、ただ殺す為の殺し。 彼の種は永き時に渡りこの狩りを脈々と行ってきた、あらゆる惑星のあらゆる生命体を相手に。 そして今回彼が向かったのはとある惑星、人型哺乳類種の支配する星だった。 彼は鈍色に輝く小型宇宙艇の中から目標の惑星を見た。眼下に広がる蒼は海の色、生命を育む海のものである。 だが彼の視界には鮮やかな蒼など映らない、当たり前だ彼の種族の可視光線に青色は見えないのだから。 彼は赤だらけの視界で目の前の星を見つめる。 この惑星の形態は一般的な通常生命体が生存している星、特徴として魔法体系の技術が進歩しているらしい。 データによれば他世界へ超空間を用いて移動する程度には科学技術もあるようだ、まあそれなりに知性はある。 彼が今度の猟場にここを選んだのはまったくの気紛れだった、そして胸中で『手ごたえのある獲物がいると良い』と密かに思う。 惑星の情報や装備を確認すると、彼は宇宙艇のコントロールパネルに大気圏突入の為のコードを打ち込んだ。 大気圏に突入した船が向かう先はこの星の中でも取り分け大きな都市“クラナガン”の上空。 こうして、ミッドチルダに最強の狩人が舞い降りた。 △ 閑静な住宅街、その中の一軒の家に人だかりができている。 近所の住人にマスコミ等の報道関係者、多くの野次馬が平和な町で起こった血生臭い事件見たさに集まったのだ。 家の中には捜査を担当している陸士108部隊が、事件現場を調査している。 そして108部隊に所属する少女、ギンガ・ナカジマは鼻腔を付く凄まじい悪臭に耐え難い吐き気を覚えていた。 それは、たっぷりの血臭に外にぶち撒けられた内臓が長時間放置されて腐った臭い。 屠殺場で動物を殺し解体したような壮絶な異臭だった。 だが事件を捜査する立場上、臭い如きに屈するわけにはいかない。 ギンガは意を決して事件の被害者の遺体がある部屋へと足を踏み入れた。 そして、朝食を食べ過ぎた事をこれでもかと後悔する。 「ウプッ!」 胃から込み上げてくる酸味を含んだ味が口内に広がる、嘔吐を耐えるのがこれほど苦痛だと感じた事は生まれてこの方無かった。 口元をハンカチで押さえて必死に喉を上がってくる嘔吐物を押さえ込む。 目元には幾筋かの涙も流れている、そんな彼女の肩に上司の男性がそっと手を置いた。 陸士108部隊捜査主任ラッド・カルタス、ギンガより遥かに事件慣れした彼は凄惨な現場の様にも顔色を変えず彼女に心配そうに声をかけた。 「大丈夫か? 無理に見る必要はないんだぞ?」 「ええ、大丈夫です……これくらいでへばってられませんから」 青い顔でそう言っても説得力などなかったが、ナカジマ家の頑固さは部隊長のゲンヤとの付き合いで嫌と言うほど知っていた。 恐らく自分がいくら言ってもギンガは現場をしっかり検分するだろう、彼女のその様子にカルタスはいくらか諦念をこめた溜息を吐く。 「分かった、止めはしないが無理はするなよ?」 「はい」 自分の身を案じてくれている彼の言葉に、ギンガは青い顔で儚げな微笑を浮かべた。 だがカルタスは優しい言葉だけでなく、しっかり捜査主任としての注意も忘れなかった。 「それと、吐くならなるべく部屋の隅でやってくれ。せっかくの現場が汚れる」 「うう……はい」 「では行くぞ、遺体は向こうだ」 カルタスはそう言うと、ギンガを先導するように歩き出す。そして、凄まじい死臭の元である部屋の奥に行けばそこには地獄絵図が広がっていた。 目の前の光景にギンガの中で吐き気と嫌悪感と恐怖が最高潮を迎える。口の中に満ちた酸っぱい味を抑えるのはもう我慢の限界だった。 「ギンガ、吐くなら向こうだ」 彼女の様子を察したカルタスは壁の方を指差す。調査するべき物の無い壁際ならば捜査官の嘔吐物がいくらかあっても問題ないという判断での指示だ。 ギンガは彼に従い、壁の方に駆けてそのまま胃の中身をぶちまけた。 普段は冷静沈着な彼女の乙女らしい様子にカルタスはいくらか苦笑しつつ、そっとハンカチを渡す。 「だから無理するなと言ったろ?」 「す……すいません……」 「良いからこれで拭いて、せっかくの綺麗な顔が台無しだ」 「はい……ありがとうございます……」 ギンガは彼から受け取ったハンカチで口元を拭い、涙を零しながら頭を下げた。 近代ベルカ式の使い手で、108部隊有数の猛者である彼女の弱弱しい姿に思わずカルタスの口元に苦笑が宿る。 「まあ、無理もないか……こんな現場じゃ……」 ギンガにも聞こえない程度の声でそう漏らしながら振り向けば、そこにはこの事件の被害者の遺体があった。 それはワイヤーで逆さに吊るし上げられており、全身の皮を剥がれていた。 遺体は、本来人体を覆うべき外皮を全て剥ぎ落とされており皮下組織の下にある筋繊維が剥き出しになっている。 外皮を剥がれた屍はさらに腹部を切り裂かれて内臓をぶち撒けられ、滴る赤で大きな血溜まりと臓物の山が形成していた。 悪臭の元はこの腐った内臓、そこには蝿がたかり蛆が湧いている。鑑識班が死亡状況を調べる為に採取したと言うのにまだ屍肉食の虫共は骸を貪っていた。 そしてもう一箇所目を引く場所、それが頭部だった。 遺体の頭は普段あるべき形、頭蓋骨の持つ丸みを失っている。それもその筈だ、屍からは頭蓋骨が抜き去られていたのだから。 それは見事な手際だった、遺体の頭部が形状をある程度保ったまま中身の頭蓋だけ取り除かれているのだ。 後頭部から顔面の前面までパックリと開かれた鋭利な割れ目からは空虚な闇だけが広がっている。 正に地獄絵図としか形容できない凄惨な状態。例えギンガでなくとも嘔吐を催さずにはいられないだろう。 凄惨極まる悪鬼の所業、しかしこんな事件がクラナガンで起こるのは初めてではない。 「これで20件目か……いったい誰がこんな事をしているんだ?」 △ 夜のネオンが光る時刻、時空管理局ミッドチルダ地上本部施設の一角、局員がよく利用するカフェに一人の女性がいた。 燃えるような鮮やかな緋色の髪をポニーテールに結い、女性的な美しさに満ちたたおやかな肢体を茶色の管理局制服で包んだ美女。 この女性こそ、地上本部首都航空隊に所属する夜天の守護騎士シグナムである。 シグナムはテーブル席に腰掛け、新聞片手にホットコーヒーで満ちたカップを傾けていた。 休憩時間にここでブラックコーヒーを飲みながらゆっくりと過ごすのは彼女の日課である。 今日もそうしてコーヒーの味を楽しみながら、紙面で報じられている昨今の事件などに目を通していた。 そんな彼女に一人の男の影が近寄り、テーブルの隣の席を引いた。 「隣、良いっすか?」 「ああ、構わんぞ」 茶髪の青年に彼女はそう答える、青年は了承を得ると隣に腰掛けて彼女と同じブラックコーヒーを注文した。 彼は同じ部隊に所属するシグナムの部下ヴァイス・グランセニック、狙撃手兼ヘリパイロット。 入隊時からシグナムの下に就き、彼女の事を“姐さん”と呼び慕う好青年である。 こうして彼と暇な時間を共にするのも良くある光景だ。 ヴァイスはウェイターが持って来たコーヒーを啜りながら、彼女の読んでいる新聞を横合いから眺めた。 「何か面白い事でも載ってます?」 「ん? ああ、最近クラナガンで多発している連続殺人事件の事がな……」 クラナガン魔道師連続殺人事件、それはここ数ヶ月間クラナガンを恐怖のどん底に落としている怪事件だった。 殺されるのは決まってデバイスを持った者、それも屈強な武装局員ばかりが被害にあっている。 そして被害者の遺体は皆、逆さに吊るされたうえに生皮を剥がれ内臓を抜かれ頭蓋を奪われ、凄惨極まる状態になっているらしい。 起きた事件は20件以上、被害者は30人以上にも上る。 事件を担当している陸士108部隊に所属するギンガの話では“この世のものとも思えぬ所業”だそうだ。 事件現場周辺で“透明の怪物を見た”とか“悪魔が人を殺していた”等の目撃証言が度々報告される事から、俗な雑誌では悪魔の仕業とすら書かれていた。 また奇妙な事に、現場近くに居合わせた女性や子供そして重篤な病気を疾病した者は誰一人として殺されていないのも事件の特徴だった。 「また起きたみたいっすね、その事件」 「ああ」 「やっぱテロリストとか反管理体制主義者の仕業っすかねぇ」 「いや、それはないだろう。それならば犯行声明が出る」 「じゃあ異常者とか?」 「かもな……」 二人がそんな会話をしているところに、突如としてデバイスからけたたましいアラーム音が鳴り響く。 デバイスを取り出してみれば緊急招集のアラートが表示されている、どうやらコーヒーブレイクは終わりらしい。 「さて、休憩時間は終わりのようだ」 「みたいっすね」 二人はそう言うと席を立ち、部隊のヘリ格納庫へと向かった。この日最強最悪の狩人に出会うとも知らずに。 △ 夜の闇の中で煌めく光があった。 クラナガンの都市部から幾らか離れた場所にある廃棄都市区画、無数の朽ち果てたビルがあるそこで数多の火の花が咲いているのだ。 あるいは銃口から咲き誇る銃火(マズルブラスト)であり、あるいは曳光弾が闇を切り裂く閃光であり、あるいは魔力弾が作り出す光だった。 それはある犯罪者集団、先ほど大規模な強盗事件を起こした無法者共と彼らを逮捕する為の来た武装隊との戦いである。 強盗共は銃火器で武装した者が30、デバイスで武装した者が10という大所帯。そのうえ全員が相応の訓練や実戦を積んでいるらしい。 手練れの武装隊も攻めきれずに苦戦しているようだった。 「オラオラオラ!! 死にさらせ糞がぁっ!!」 ツバを撒き散らして叫びながら強盗団の一人が遮蔽物から身体を出して銃を乱射。大口径の軽機関銃の銃口からオレンジ色の銃火と共に大量の弾丸が吐き出される。 撃ち出された弾丸の内何発かはフルオートの反動で標的となった武装局員を外れて周囲のコンクリート壁にめり込んだが、大半は狙い通りにきっちりと命中した。 武装局員の展開した防御障壁を高硬度の金属製弾芯を有して高貫通能力を持つライフル弾が削っていき、十発目にして完全に破壊。 バリアジャケットで覆われた武装局員の身体にめり込んだ。 「がはぁっ!」 叫びと共に吐血、内臓深くにこそ達しなかったものの銃弾のもたらす人体破壊は絶大だった。 たたらを踏んだ後に、被弾した武装局員の男はその場で倒れる。激戦地で倒れた彼は正に格好の的。 血に餓えた犯罪者共はその狂った照星(サイト)の照準で狙いを付けた。 「マイケル!!」 絶体絶命の仲間に武装局員の一人が危険を顧みず、遮蔽物にしていた廃車の陰から顔を出して叫んだ。 引き金が絞られ、銃弾の雷管が叩かれて薬莢に詰められた遅燃性火薬が燃焼するまで一刹那。 人の命が無造作に奪われる寸前、その時一つの影が舞い踊った。 瞬間けたたましい音と共に炸裂する銃声、金色の薬莢を地面に転がしながら硝煙と銃弾の狂想曲を織り成す。 絶命必至の過剰殺傷、着弾の衝撃で巻き上がる土煙、勝利の愉悦に銃撃を行った男は下卑た汚い笑いを浮かべて口元にだらしなく唾液まで垂らした。 だが、煙が晴れた時現れたのはミンチになった死体ではなく燃えるような緋色の髪を揺らした美女の姿。 剣を片手に立つその姿はさながら戦場に舞い降りた戦の女神か、形容し難い美しさだった。 「ナニ!?」 男の口から思わずそんな呟きが漏れる。突然割って入って女が現れたのもあるが、これだけの銃弾を受けたというのに相手が無傷であるという事実が衝撃を与えた。 彼女はただ正面から銃弾を受け止めたのではない、銃弾の軌道を反らす為に傾斜を付けた高硬度障壁を多重展開して受け流したのだ。 よっぽど腕の立つ魔道師でもなければこんな芸当はできないだろう。故に男に与えた驚愕は深い。 男は手にした軽機関銃では相手を破れぬと即座に判断、背に担いでいた個人携帯用の使い捨て式ロケットランチャーに手を伸ばした。 「遅い!!」 女性は叫ぶと同時に跳躍、飛行魔法を行使して相手に高速で接近する。既に男は彼女の間合いの内にいた。 鮮やかな緋色の髪を揺らし、宙を舞いながら横薙ぎに刃を振るう様は幻想的な美しさすら有している。 そしてランチャーを発射する為に安全ピンを外す暇すら与えられず、男に彼女の振るった炎の刃が一閃。 男の意識は燃える刃で闇の底へと刈り落とされる。手にした銃火器を地に落としながら、男の身体は倒れ付した。 「安心しろ、殺しはせん」 彼女はそう言いながら、剣に這わせた魔力の炎を払う。 武装局員の仕事は犯人を殺傷する事でなく無力化して捕縛する事だ、絶命せぬように手心は加える。 そんな彼女に、先ほど銃弾に倒れた武装局員を介抱しながら隊員が声をかけた。 「すいませんシグナム隊長」 「気にするな、それより早くマイヤーズを医療班の元へ連れて行け」 「ですが、隊長だけ残してはいけません」 「ん? 誰が一人と言った?」 部下の言葉にシグナムが答えた刹那、高出力の魔力弾が発射される音が鳴り響く。 何が起こったのかと周囲を見渡せば、100メートルほど離れたビルの屋上で倒れる影が一つ。 それはシグナム達にロケットランチャーの狙いを定めていた強盗団の一人だった。 「ヴァイスがいる」 彼女がそう言って空に顔を向ければ、ヘリの後部ハッチから狙撃銃の銃身を覗かせてこちらを見下ろす狙撃手が一人いた。 ヴァイスは200メートル以上離れた場所をホバリングし空中静止しているヘリから見事な狙撃を見せた、正にエース級の腕前である。 「私はヴァイスと一緒に先行した部隊と合流する、早く撤退しろ」 「は、はい! お気をつけて」 負傷した仲間を担いで撤退する部下に一言残し、シグナムは先行して強盗団と戦っている部隊の元へと駆け出した。 手にした剣に炎を纏わせポニーテールに結われた緋色の髪をたなびかせて美しき女騎士がさらに激しい戦場へ向かう。 そして、ビルの一角からそんな彼女を見つめる狩人が一人。 それはまるで陽炎だった、特殊なフィールド発生させて光を曲げて自身の姿を隠す擬態能力、光学迷彩によるステルス化である。 彼のヘルメットの機能が赤外線によって熱分布を映像化したサーモグラフィによってシグナムの姿を映し出す。 狩人はその目で獲物に狙いを定めた、絶世の美女にして勇ましい女騎士を。 今しがた離れた場所で戦闘を行っている者達も含めて、どうやら今夜の狩りは賑やかになりそうだ。 異星より来た狩人は予想よりも遥かに多くそして狩り甲斐のありそうな獲物に胸を熱く滾らせた。 続く。 目次へ 次へ
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「これは…ダメだよ」 高町なのはに提出した新兵訓練案、この一言にて却下されたり。 上官なれば否やも無しだが、己があやまち正すも当方の任務。 ために聞くは、問題点と、その程度。 「短期的に効果は上がるかも知れないよ? だけど、それだけ。これじゃ強くなるより、みんなをすり潰す方が先になっちゃう」 しかし、われらは『対超鋼』。機動六課が発足した今、いつ出撃命令が下るかわからぬ。 短期間で練り上げねば、皆を死にに行かせることになるではないか… 「覚悟くん」 「…はっ」 「身長130cmの男の子に、今すぐ180cmになりたいって相談されたらどうする? 覚悟くんなら、なんて言ってあげるのかな?」 「…………」 返す言葉、なし。 不退転の心構えをもってしても、どうにもならぬことがある! 可能な助言といえば、月並み千万な言葉しか並ばぬ。 だが、その180cm。今すぐ必要ならばどうするか。 「そのときのために、わたし達がいるんだよ。 あの子達の後ろで支えてあげるの」 「だがそれでは、他を頼った戦いが身に付いて…」 「戦えないうちはそれでいいと思うな。 まさかいきなり改造人間と戦わせるつもりは覚悟くんだってないよね?」 「うむ…だが、想定はすべきだ」 「そこが対超鋼戦術顧問、葉隠覚悟の腕の見せ所だよ。 他の部分は、教導官、高町なのはを信じてほしいな」 なるほど。勘違いをしていたか。 改造人間との遭遇時、新人四名が増援到着までこれをいかにしのぎ生存するかの手段を確立し、 これのための訓練、演習計画を提案し実行するのが当面おれに求められた役割というわけだ。 今の今まで、おれは新人四名にて生物兵器をいかに倒すかをばかり考えていた。 そのためには現行の訓練時間ではあまりにも足りぬから、時間外の特別訓練案をこの高町なのはの元に持ち込んだ次第であったが。 「それにね…この訓練案。時間外じゃなくても、みんな、すぐにまいっちゃうよ」 「かの生物兵器を倒すには最低限、これだけ出来ねばならぬ」 「これが最低限だとしても、みんなにはまだまだ遠い一歩だよ。 必要なのは強くなりたい気持ちと、地に足がついた自信。 わたし達があせったら、みんなもきっと無理をして…自分の立ってる場所を見失っちゃうから」 …だが、死狂いでなければ届かぬ場所もある。 現人鬼、散(はらら)。 きさまがこの世界にいるというのならば、おれは… 魔法少女リリカルなのはStrikerS 因果 第十二話『焦り』 「どうした、打ってこい」 「はぁ、はぁ…」 息が荒いのは酸素が足りないからじゃない。 どちらかというとこれは、緊張。 四度目の突入角が、決まらない。 「臆したか、スバル!」 「ってぇぇぇりゃああああああ」 実戦じゃ、敵は待ってくれない。これ以上ぐずぐずできないんだ。 ウイングロードを展開。仰角およそ十五度の頭上から、あたしは突っ込む。 そして。 「積極」 葉隠陸曹の鉄拳が、あたしのお腹のやや上あたりをとらえたんだと思う。 まず衝撃。吹っ飛ばされて地面に墜落。 それから、耐えがたい吐き気と痛みが襲いかかってきた。 「うげぇぇっ…げほっ、ぐぅぅ」 「焦りのままに仕掛けるな、馬鹿者! シューティングアーツは一撃必殺にして一撃離脱。 道が通らぬままに打つは自殺だぞ」 口まで戻ってきたのを呑み下しながら、立つ。 …さすが、覚悟さんだと思う。 今は、攻撃せずに追いかけてくる覚悟さんを迎え撃つ形で、 後ろへ後ろへと引きながら、『道が通る』瞬間を見計らって打ち込む訓練の最中。 目標は、二十分以内に十発。 もう十五分経ってるのに、まだ一発も決められていないから、どうしても気が急いてくる。 この人相手だと、普段、通っているように見える道でも、雰囲気的に打ち込みにいけない場面がすごく多い。 というか多分、99%はそれなんじゃないかなと思う。 そんなだから、ごくごくたまに見える道もなかなか信じ切れなくて、 気がついたらあの人の回りをぐるぐる回ってるだけになってしまっている。 「受け身はしっかり取れたようだが防御魔法が甘い。 これが実戦であれば悶えているうちに止(とど)められよう」 「は、はいっ…」 「では来い! 十発打ち込めぬのであれば、十殺に匹敵する一撃を以てせよ」 「はいっ!」 ローラーブーツ、再加速。 旋回しながら間合いを開き、向かいの広い道路へと出る。 ここだったら、今までよりはいくらか道は通りやすくなる。 反撃する側の幅も増えるから、プラスマイナスで言えば微妙なところだけど… 覚悟さんは、乗ってきてくれた。 こっちに向かって駆け足で、あたしは頭上…見えた、道! ウイングロード、展開…いや、早い。早すぎた。 でも今更取り消せない。このまま突っ込むしかない。 だったら迷って打ち込んだりしない。決めたら、打ち込め… 「積極」 今度は左胸、少し下あたりに拳がめり込んだ。 ああ、実戦なら間違いなく即死だな。 痛みを感じるよりも前に、あたしはそう思った。 「ここまで」 「…………」 寝転んで青空を見上げていたところで、二十分、経ってしまったらしい。 まずはすぐに立ち上がる。こんな情けない格好、ずっと見せていたくもないし。 …にしても。 「一発も、入らなかった…」 これじゃあ、訓練以前の問題。 一発も入らなかったという結果だけの話じゃない。 打ち込みに行こうにも身体が動いてくれない所が多すぎた。 戦わずして負けたみたいなもので、これじゃあ、あんまりにも不甲斐なかったけど。 「おまえの『攻め』の気は伝わってきていた。 そう悪いものでもないと思う」 覚悟さんにそう言ってもらえると、散々だった今の訓練も、少しは誇らしく思えて。 だから、次はもっとうまくやる。 「良き師に学んだようだな」 「…はいっ、おかあさんと、ギン姉に」 あなたの背中を見たあの日から。 強くなりたいって願ったあの日から。 あたしはずっと、求めてきたから。 「でも、あたしの強さは、ぜんぜん足りない」 求める強さには届いていない。 もう二度と、あの子みたいな死を見たくなくって、 だからあたしはここにいる。 「鍛えてください。誰にも負けなくなるように」 「うむ…では征くぞ、今度はこちらの打つ番だ」 「はいっ」 「…で、今日も吐いたのね」 「うん、お腹だけ守ってるわけにもいかないし」 見てるだけで胸焼けがしそうな量を胃袋にかき込んでいくのは、 いつもそんな風に、いちいち中身を絞り出してくるからなんだろうか。 特盛り二人分のスパゲティをみるみるうちに減らしていくスバルを見ながら、 しょうもないことを私は考えていた。 「わかってはいるけど、よくやるわよ。葉隠陸曹」 「痛くなくば覚えぬ、って。あたし、間違ってないと思うから」 私やエリオ、キャロも身をもって経験しているからわかるけれど、 陸曹の訓練は『痛み』という一点で過酷さをきわめる。 シューティングアーツ…拳闘を主体とするこの子は、それをほぼ毎日やっているんだ。 今は制服を着込んでいるからわからないけど、 この子の服の下は、絆創膏と湿布だらけ。 一緒にシャワーを浴びに行くたびに、新しい青アザをこさえているのを見つけてしまう。 毎日毎日、生傷の絶えない子だ。 陸士訓練校で知り合ってから全然変わってない。 ドジで不器用なくせに、危険なことは一番最初に引き受けようとする。 一番前の、一番危険な位置に、進んで身体を張りに行く。 それをフォローする私の身にも、ちょっとはなってほしいけど、 だけど、私も負けていられなくて。 この子があの人の背中を目指してきたように、私にだって、ゆずれないものがある。 「ティアもよく食べるね」 「やかましいのよ、そういうこと言わないの」 「会った頃は、もっと食が細かったから」 「しっかり食べなきゃ務まらないでしょ、それだけよっ」 肉体と魔法をフルに行使するこの仕事だ。 身体をしっかり作っておかないと、続けられっこない。 それだけ…本当に、それだけ。 たくさん食べるようになったのだって、当然の流れで。 だって、そうでしょ? なんでこの子につられてたくさん食べなきゃいけないのよ。 むしろ私は指導する側。 何かにつけて限度を知らないこの子に、いつだってストップをかけてきた。 なんで私がこんなことをしてるんだろうって思ったことも一度や二度じゃない。 そんな私の気も知らないで、憧れの人を前に舞い上がって…いい気なものよ、ホント。 ふと、まわりを見回し、隣のテーブルの様子を目に留める。 あの二人…エリオとキャロが、仲良くご飯を食べていた。 詳しい事情は知らないけれど、キャロはやたらとエリオになついている。 エリオの方も気後れはしてるけど、まんざらじゃないみたいな様子で。 今だって、落ち込んでるキャロに頑張って話をふったり、元気づけようとしているみたい。 持ちつ持たれつはいいんだけど、私なんかの目から見たら、そうやって甘やかすのがいけないと感じてしまう。 そんな風に他人に頼った心を根付かせるから、戦闘訓練でも気後れするんじゃないのか。 …そこまで考えて、少し、むなしくなる。 だって、それを言ったら、私とスバルだって多分、似たようなものなんだから。 そろそろ考えなくちゃいけないと思う。 今は機動六課にいたって、みんないつまでも同じ道を歩くわけじゃない。 夢というのは結局、自分自身でしか面倒を見られないものだから… 「? どうしたの、ティア」 「どうもしないわよ」 「あの二人、仲、いいよね」 「…そうね。訓練もあの調子で順調ならいいんだけど」 「へ?」 目をまんまるにするスバル。 幸いにしてこの子にはまったく気づかれていないようだが、 我ながら大人げないにもほどがある発言だった。 …自己嫌悪、もとい、反省。 「明日はシグナム副隊長との模擬戦でしょ? 食べ終わったら作戦、詰めるから」 「ああ、それで」 別に、それで、でも何でもないのよ、スバル。 あんたはお人好しすぎて、たまにムカつくのよ。 ともかく、今の私に必要なのは、上司の誰かに「出来る奴だ」と認められること。 でなければ、実戦の一角にすら出してもらえないかもしれないのだ。 そして今の私達は四人で一人のようなもの。 全員で認められなければ意味がない。 私は、立ち止まりたくない。 今のポジションにあぐらをかいて、油を売ってるヒマなんか、ない。 多分、それはみんなも同じはずだ。 私達は、戦うためにここにいるんだから。 早く強くなって、早く誰かを助けに行って… 「作戦会議だったら、オブザーバーも役に立つと思うな」 そこにいきなり声をかけてきたのは、私の直属の上司にあたる人。 私を見込んで、機動六課に引き入れた人。 「た、高町一尉?」 「なのはさん、でいいってば」 スバルにとってはこの人も、自分の変化のきっかけで。 空港火災から救い出してくれた大威力が心の底に焼きついているから、 正面突破の砲撃魔法に同じ名前を借り受けて。 じゃあ、私にとっての、この人は? 「わたしも混ぜてもらっていいかな、ティア」 「…はい」 「元気ないなぁ。気合い、入れていこ?」 「はいっ」 機動六課、屋内訓練場。 第九十七管理外世界、日本国にある剣術道場を模して作られたこの場所は、 葉隠覚悟が好んで座禅を行う場所だと知っていた。 というより、おそらくはこの男の存在が無ければ、このような施設は作られなかっただろうと思う。 私、シグナムのみならず、大小様々の影響をこの男から及ぼされていることは確かだ。 そのようなこと、改めて感じるまでもないことだが。 「シグナム二尉」 案の定、私が道場に足を踏み入れると同時に敬礼を受けた。 常に感覚が研ぎ澄まされているのもあるだろうが、互いの足音を覚えているのだから当然か。 戦士が半年、一緒に暮らせば、そうなる。 「いい、楽にしていろ」 この言葉は合図だった。 楽にしろと言わない限り、部下で居続ける。 彼の最小限のけじめであり、ある意味で最大限の譲歩だ。 ほとんど誰もが九割九分、出会い頭にこう言うのだから、 もしかすれば彼も辟易しているかもしれないが、構うことはない。 「なのはから、聞いた。おまえが焦っているとな」 「新兵訓練案か。無理を心得ぬ浅慮であった」 「いや。私が聞きたいのはおまえ自身の問題だ」 「おれの…?」 大体、わかるのだ。 八神家の誰もが理解しているだろう。 私もそのことを、この身体を以て知っている。 「やはり、おまえは散(はらら)を見ている」 「む…」 「フォワード四人に、おまえ自身の姿を重ね見ているのだろう?」 いつ現れるかわからぬ改造人間。 立ち向かうべき新人達は、戦力と呼ぶには未だ頼りなく。 これは、未だ存在の確認できぬ散(はらら)と、 その姿を求める覚悟の関係に等しいものだと言えよう。 「…かもしれぬ」 「おまえの拳を何度受けたと思っている。 そのくらいは、わかるよ」 言葉にせねば伝わらぬ思いもあるが、 拳に乗せる重みは時として千の言葉に勝るのだ。 剣を合わせた者同士だからこそわかる。 「やはり、おれは未熟だ。 おれ自身の焦りが、訓練案にもにじみ出るとは」 平静そのものの表情ながらも若干うつむく覚悟に、 私は少し苦笑して。 「言っておくぞ、覚悟。 そんなおまえの姿が、私には嬉しい」 何を言っているのだかわからない。 覚悟の顔にそう書いてあるのに構わず。 「おまえ自身がいつも言っているはずだぞ。 痛くなくば覚えぬ、と。 おまえは今、自分の未熟さに痛みを感じているのだろう?」 「だが、おれ自身でそれに気づくことができなかった」 「そうでなければ、この世の誰もおまえの役には立たないだろうよ。 それとも、なのはや私、主はやては、おまえにとって無用の存在か?」 「そのようなことはない!」 鋭い目つきと声が帰ってくる。 固く揺るがぬ確固としたものを込めて。 何もそんな力んだ返事を返さなくともいいのに。 また思わず笑ってしまいながらも、私は目を合わせ、しっかり頷いた。 「…なら、それでいいということだ」 そうやって言い切ってくれる限り、私もそれに報いるとしよう。 今の返事、主はやてにも聞かせたかった。 「第一、おまえには可愛げが無さすぎる。 たまには隙を見せてくれなければ、共に戦う甲斐がない」 「隙を見せよと?」 「冗談だよ。困った顔をするな」 ともあれ、大丈夫そうだな。 慣れぬことをさせている自覚があるからか、 はやても覚悟のことを常に気にかけていて、 だから私もこうして仕事の合間を縫って話を聞いて回ることになる。 シャマルとヴィータも同じことだった。 いや、むしろ八神家ゆかりの人間全員が同じことだと言っていい。 だから、なのはの方から朝一番で私にコンタクトを取ってきたのだ。 不必要なまでの焦りが教練を行う上官から発せられては、肝心の部下が精神的に追い込まれかねない。 そういう実務的な面からも情報の共有を急いだというが、今回はそれが功を奏したと思いたい。 もっとも、覚悟に散(はらら)という宿敵ある限り、心の奥に潜んだ焦りはまたいつ顔を出すかわからないのだが、 それを本人に自覚させることができただけでも、今回は良しとするべきか… 「フォワードの四人だがな、明日は私との模擬戦だ」 「あなたの見立てはいかに」 「ここ十日を見る限り、キャロをどうにかしなければな」 「おれの、せいかもしれぬ」 魔法自体は遜色なく使えるのに、実戦形式の訓練になると、途端に失敗が込み始めるあの少女。 魔法を出すタイミングが早すぎて連携の足並みをバラバラに崩してしまうのだ。 特に、接近戦を挑まれるとその脆さはひどい。 最初のうちはそこまでまずいものでもなかったのだが、一度の失敗からどんどん軸がぶれるように悪化していき、 ここのところのフェイトの話題のほとんどがキャロの心配で占められてしまうような有様である。 「まあ、明日の立ち会いで確かめさせてもらおう。 おまえのせいかどうかもな」 「頼む」 覚悟に確かに頼まれてから、私は道場を後にした。 前へ 目次へ 次へ
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無音の闇が広がっている。 それができたのは何時のことなのだろう、それともこの世界が創られた瞬間から存在していたのだろうか。それを識るモノはなく、また、それを識る術は無い。 それは永劫の闇。 星星の瞬きすら呑み込む、濃縮された闇。 時間と空間、そんな概念すら忘却させる、希釈の闇。 生命の輝きを、一瞬きで終わらせる、虚無の闇。 闇の中では、光は呑み込まれるしかないのか。ただ悲鳴をあげることすらもできず、闇に敗北することしかできないのか。 闇の前には、生命は無力なのか。 光と闇の戦いは、闇の勝利に終わる運命なのか。 ……否! 『否』と叫ぶその意思こそが、虚無を討ち祓う光芒となる。 * 「――ンっ」 西堀さくらは強張った背筋を伸ばして、五時間の勤務の疲れを緩和しようとした。 だが上手くいかず、逆に肩に違和感を覚え、右肩をぐりぐりとまわしてみるが、違和感はなかなか拭えない。 座っているだけだから駄目なのは理解していたが、他の事をして観測任務に支障をきたすわけにもいかない。 ダイボイジャーで宇宙空間探査任務についてから三ヶ月、そのことは身をもってよく知らされている。 宇宙空間においては、石ころ一つでも巡航速度のダイボイジャーには重大なダメージを与える存在であり、その一撃ダイボイジャーが沈む可能性すらある。 実際、出航して一週間ほどで、三十センチ程度の岩と衝突してしまい、それの修理のためにダイボイジャーは変形機構を失ってしまった。 だからさくらは同乗している明石暁との相談で、交代で監視任務にあたることにしたのだが、それはさくらにとっては不幸なこと。 広大な宇宙に、未知なるプレシャス、冒険を求めた暁とは違い。さくらにとってこの旅路は、想い人との二人きりの旅行でもあったのだ。 仕事に私情を挟むわけではないが、宇宙に行ってしまえば二度と会うことができないかもしれない。それはさくらにとって何よりも怖かった、だから付いてきた。 そこには、もしかしたら何か進展があるかもしれない、という期待もあった。 限定された空間に男女二人きり、もしかしたら、ではなく、さくらの予定では確実に進展があるはずだったのだが。 交代での寝起き、寝ても冷めても冒険のことばかり考えている冒険馬鹿。 これは押し倒した方が早いんじゃないかと、考えもしたが――実行に移せるほどの勇気もなかった。 二人の関係は進展もないまま、ようやく火星につこうかとしていた。 さくらはモニターに表示されている赤い星を観て、不意に想った。 かつて火星には生命が存在した可能性もあったといわれている。 正確な所は解っていない。 そうかもしれないし、そうでないかもしれない――それを調べるのも、今回の任務の一環だ。 その時、宇宙空間航行船として改造された際増設された居住スペースへ繋がる扉が開かれ、暁が現れた。 「どうだ、火星の様子は」 暁を見て、さくらは時計を確認したが、まだ交代の時間にはなっていない。 そのさくらの様子をみて、暁は笑った。 「いや、なに、少し気になってな」 「はぁ」 さくらは息を洩らした。 宇宙にでても不滅の牙明石暁という男に変化はない、常に冒険に目を輝かせているのがこの不滅の牙。 今は火星という新たなステージを前に、常以上に気が昂ぶっているのだろう。 「現在のところ、異変はありません。静かなものです」 「そうか、それならいいんだが……」 いまいち煮え切らない暁の言葉。 「何か気になることでもあるんですか?」 「……それが――いや、なんでもない。忘れてくれ」 「はぁ」 そう言われると余計気になるのだが、暁は言う気がないようで、中央シートに座ると。 「じゃあ、少し早いが交代にしよう」 「あ、はい」 そういって、さくらが立ち上がった瞬間のことであった。 観測システムに異常が起きた。 「これは」 火星表面に熱量の発生。 ダイボイジャーに搭載された熱源探知レーダーは、プラス十六…十七…十九……熱量が増大化していく、既に二三を超えた。 それはこれまで観測されている限りの火星のデータにおいては、最大値の更新である。 更新は続く。 「さくら、記録を――」 「採っています。ですが、これはいったいどういうことなんでしょうか」 「さあな、しかし、これは面白いことになりそうだ」 「――え?」 暁の口には確かな笑みが浮かんでいた。 それはこの状況においては狂気とも言える貌かもしれない、状況についていけなくなった狂気だと――しかし、違う。 この男、明石暁に限って言えば、それは違う、この男はこの状況を愉しんでいる。 それは酷く狂気に似ているが、その笑みは狂気などではなく、無垢なる子供の純粋な興味の笑顔。 あれはなんだ? これからどうなる? ただそれだけを見ている、未知の状況に対しても刃向かうことなく受け入れ、それを凌駕してしまう。 それが明石暁という男だと、ボウケンジャーとして共に戦っている間に学んだことだ。 さくらは口元に笑みを浮かべた。 「取り合えず、一つ目の成果になりそうですね、明石さん」 「ああ。――む? 熱量の増加の目があるな」 「目、ですか?」 「ああ」 さくらは一瞬意味を掴みかねたが、暁が熱量の中心点を指差して、台風の目と同じ意味だと気づいた。 「映像拡大します」 さくらは操作板で指を躍らせ、モニター上に表示されている映像を、暁が示した熱量の目を中心に拡大。ダイボイジャーの眼が一瞬だけ宙間に瞬き、モニターの映像が変化する。 そこに映し出されたのは、 「な――」 さくらは言葉を失いもし、しかしそれをどこかで見たことがあるという錯覚を覚えた。 火星の表面にいたのは、蛸――否、蛸という表記は正しくないだろう。 その蛸はさくらが知るような、食用の蛸ではなく。軟体生物特有のグロテスクさをもったまま、直立で動いていた。 それも一匹や二匹ではない、蛸は無数にいた。 さくらは数を数えようとして放棄した、それだけ蛸は火星上に群がっており、それに加え増えていっている。 いまや火星の表面の一部が、蛸で覆われ、地表が見えなくなっていた。 「親父でも連れてくれば喜びそうなシチュエーションだな――彼らとコンタクトを取れると思うか、さくら」 「……私的な見解になりますが、おそらく不可能かと」 「ほう、その理由は?」 「私たちには彼らと交感できる手段がないように思われます。 変身して火星表面に降りても、私たちの声を伝えるだけの空気はありませんし、私たちが使用する言語を使える可能性もありえないでしょう。 それにどのような文明か――私には彼らがこの瞬間に出現したように見えましたけど――存在するかは分かりません、 ですからジェスチャーでの意思伝達も不可能に思えます」 さくらは顔を青ざめさせながらも、それだけ言ってのけた。 その回答に暁は満足し、自分の中にある回答とも符合することを確かめると、頷き。 「現在俺たちが優先すべき任務は、この映像を地球に伝えることだ。電信は可能な距離だったか?」 「……はい、タイムラグが生じますが、この位置ならば、地球への電信は可能です」 「よし、ならば、この映像をミスターボイスへ」 「了解」 さくらはすぐさま行動に移し、事実映像の一部は地球にまで到達した――だが、それは、直ぐに遮断されてしまった。 強力な電波障害かとさくらは考えたが、それは違った。 ダイボイジャーの内臓電源が、全て消され、艦内が暗黒に包まれる。 「――チーフっ」 「慌てるなっ」 『そう、慌てない方がいい』 暁とさくらの二人きりの艦内に、もう一人、聞き覚えのない声が聞こえた。 さくらは周囲を見たが、暗闇で何も見えない。手探りで予備電源への切り替えをしようとしたが、うまくいかず、椅子から落ちそうになる―― そこを暁の腕が抱き寄せた。 さくらを太い腕で抱いた暁が闇に向かって呼びかける。 「誰だ。あの火星にいるものたちの首領格だと考えていいのか」 『その質問は難しい、そうでもあるし、そうでもないといえる――』 「なら、お前は誰だ」 『そうだな、答える理由はないが、答えておこう、答えるとすれば』 暗転したモニターに、一瞬象形文字に似た線が表示され、それが瞬く間に変容していき、英語へと。 Nyarlathotep モニターにはそう表示されていた。 * 『定置観測隊からの報告によれば、当該世界太陽系第四惑星火星にて、当該世界標準時刻紀元前2007年に異変が発生。 それまで観測していた限り生物が存在していなかった、第四惑星に生物を確認されました』 時空管理局・巡航L級8番艦。次元空間航行艦船アースラに持ち込まれたその事件は、難解極めていた。だがすべきことは決まっている。 『我々に与えられた任務は、当該宙域での調査です。 アースラで第四惑星まで行きますので、ハラウオン執務官には当該宙域から発せられた電信の内容を受信した施設までいき、その内容の確認をお願いします』 既に当該世界第三惑星地球に転送されたフェイト・T・テスタロッサは、空間モニターの向こうにいるエイミィ・リミエッタに頷いてみせ。 「了解」 短く答えた。 空間モニターの映像がエイミィから、フェイトの義理の兄であり、アースラ艦長であるクロノ・ハラウオンに切り替わる。 『本来ならば、君を行かせるような任務ではないのだが。どうやらその世界の情勢は不安定のようでな――それに、人手が足りないんだ』 頬を掻き申し訳無さそうにいうクロノに、フェイトは小さく口元に笑みを浮かべ。 「分かっています。それよりも、そちらの方こそ気をつけてくださいね、何があるか分かりませんから」 『ああ、心配するな――じゃあ、君の働きに期待する』 そういって空間モニターは切れた。 フェイトは息を吐くと、事前に渡された情報を再確認することとした。 フェイトが向かう先、それは――サージェス財団日本支部。 * サージェスレスキュー、それが現在の彼の肩書きである。 大規模災害に出動し、被災者の救出や、火災の鎮圧が彼の役目だ。 しかし、サージェスレスキューはまだ彼一人しかおらず、彼の仕事には定められた休日というのは存在しない。 だが彼にとって、この仕事内容に不満はなかった。 今日の闘いの場は水族館。 『すまない。施設地下最奥部に、施設職員が五名ほど取り残されている。我々も部隊を派遣したが、』 「ア? 何かあったのか」 『二十分経過しても連絡がつかない』 「つまり、ソイツらも連れて来いってこったろ?」 『ああ、……頼む』 たった一人のサージェスレスキュー/高丘映士は手の甲でくいっと鼻の下を擦ると、口端を釣り上げて笑った。 「俺様に任せろ――ゴーゴーチェンジャー、スタートアップ!」 そういって、不敵なまでの自信を鎧いボウケンシルバーは今日も自らの戦場へと赴く。 * 水族館内部は、現在外部による水抜き作業を行っている最中であるが、映士/ボウケンシルバーの目にはそうは見えなかった。 漏れ出した水と魚で、水族館の地下全体が水族館と化していた。 入り口付近では、逃げ出した魚の救助活動を行っているが、水面付近に来るのは小魚ばかりで中々捗っていないようだ。 電源を直ぐに切断したから良かったものの、流れたままであれば、凄惨な状況になっていただろう。 土産モノコーナーから流れ出してきたお菓子やぬいぐるみを払いのけ、こんな状況でも騒がずゆったりと泳ぐエイの隣を並泳し、ボウケンシルバーは施設内を進んでいく。 施設内は迷うような複雑さもなく、まず二人を見つけると、地上まで連れて行き、再び潜った。 その際、現場指揮官から施設内の水抜き作業の様子を聞かれたが、内部に変化がないことを告げると。 「まあ、そうだな。少ししたら変化も起きるだろう、水抜き用の設備は正しく起動した」 「おうっ」 潜ってみても変化はないように思えた。 それに先行しているレスキュー隊員が見つからないのも、不思議な話だった。 その理由は焦らずとも、施設を進んでいくことで判明した。 施設最奥に位置する展示物は深海魚、途中鮫と遭遇したこともあり、映士は今回の任務にいつになく乗り気になっていた。 父と世界を駆けていた頃も、ボウケンジャーの一員としてネガティブとの戦闘をしていた頃も、遊ぶ暇は少なく、水族館になど来たことがなかった。 だから、鮫を見たのもこれが初めてだったのだ。 「食ったら美味そうだったな」 どうにもシンプルなのがこの男である。 最奥部に到達しても、周囲環境は水によって満たされていて、けれどその水は濁っていた。 そして―― 「アアッ?」 そこには、ダイビングスーツを着た人間の一部が漂っていた。 「な、おいっ、嘘だろ」 無残にも引き裂かれ――いや、食い千切られたような、人間の残骸。それも一つや二つではなく、無数に。 映士はアクセルスーツ頭部のライトを左右上下に向け、生存者を探す。 生物相手には反応しないサガスナイパーサガスモードを起動して振り回すが、誰も見つからない。 ――いや、見つけた。 「なんだ、テメエら」 水槽の奥に立ち、何かを喰らう異形の獣たち。 映士には見慣れたものであり、こういった光景も少なからず見てきた。 だが、だからといって赦せる様なものではない。 「テメエらがやったのか、テメエらがやったのかって訊いてんだよっ! サガスナイパー、スナイパーモード!」 ボウケンシルバー専用ボウケンアームズであるサガスナイパーを手動で変形させ、狙いを付けるのも素早く、引き金を引く。 映士とそう変わらない身長の、魚か蛙によく似た異形は、喰らうのに夢中で逃げ遅れ、半数の三体を撃ち抜いた。 残り三体、サガスナイパーを再変形、サガスピアへ。 後ろ手に構えると、壁を蹴り、勢いをつけ突撃。 異形どももまた、床を蹴り、人間と同じ五本の指のまたにある水かきで、水中を突き進み突撃してくる。 映士の知識にはこんな生物の存在はない。 人間――いや、類人猿によく似た体つきで、蛙面、水かきを持ち、鰓まで持つ、ぬらぬらとした肌のそれが何かということは映士にとってはどうでもいいことだ。 彼は以前、これと似たようなものとも戦ったことがあった。 進化のレールを外れた存在――アシュ。 こいつらが何者だろうが知ったことではない、どうせアシュの一種だろう。重要なのは、一つ、こいつらが人間に危害を加えた、それが重要だ。 「うおおぉぉぉぉぉっ!」 気迫一閃、先頭の異形を二つに割り、返しでもう一体の鰓を突き、最後の一体を蹴り飛ばし、サガスナイパーへ再変形、体勢を崩した人型蛙へ撃つ。 瞬く間に殲滅したが、しかし、自分の遅さに映士は苛立った。 救えなかった。 その後悔が映士を苛もうとする――が、事態はそれを許さなかった。 人型蛙たちが立っていた場所を良く見れば、大穴が開いていることが分かっただろう。 その大穴は、どこかへと繋がっていた、そうとしか考えられない事態が生じた。 大穴から何か――それを何かと言われれば、それは肉で編まれた縄、或いは肉の触手。赤黒い体色の触手が、大穴から溢れ出し、 「あ? ――っ」 映士を捕らえ、大穴に引きずり込んだ。 * 現代の科学水準を超えた危険な力を持つ秘宝――プレシャスを、安全に管理する為に創られたのが実働チームボウケンジャー。 彼らの任務とは、プレシャスの探索であり、プレシャスを狙うネガティブシンジケートからプレシャスを護ること。 「……要は時空管理局をスケールダウンした組織、か」 フェイトが接触することとなったのは、サージェス財団の代表でありボウケンジャーへ指令を与える存在、ミスターボイス。 火星宙域から発せられた電信は、サージェスミュージアムで受信されたらしく、フェイトはミュージアムを訪れていた。 クロノから与えられた情報によると、ボウケンジャーの隊員は通常時、ここで学芸員をしているとのこと。 その居所さえ掴めない、ミスターボイスへの直接接触手段が存在しない為、ボウケンジャーを介して接触することにしたのだが。 「……うわ」 海鳴市にも同様の施設は存在したし、小学校時代見学に行ったこともあったが、サージェスミュージアムにあるものは一味違っていた。 恐竜の骨格標本が幾つも並び、近代の発明品――特にレオナルド・ジョルダーナの作品を再現したものが多数展示されていたり。 触れることはできなかったが、百鬼鏡や初音の鼓、風水羅板、ハーメルンの笛といったロストロギア指定を受けていいものが展示されていた。 中でも、シンデレラの靴を見つけた時、フェイトの目は輝いていた。 ガラスケースの中飾られたシンデレラの靴には、フェイトも聞いたことがあり、一瞬仕事を忘れて見入っていると。 「よお」 いつのまにやら隣に一人、黒いジャケットを着た男が腕を組んで立っていた。 「これ好きなのか」 「え、あ、まあ」 一時とはいえ、気を抜いてしまっていたせいで、少々声が裏返ってしまった。 男はふんと鼻を鳴らすと。 「ま、見てくのはいいけどよ、学校は大丈夫なのか? こんな時間に来て」 「――え」 時刻は朝十時、フェイトの見た目は中学生そのもの――その心配は当然といえた。 「はい、今日は休みなので」 「そうか、なら楽しんでってくれ。分からないことがあったら――そうだな、黄色か青のジャケット着た奴に訊いてくれ」 そういって立ち去ろうとした男の、ジャケットの背にSGSの三文字――ボウケンジャーは普段ミュージアムで学芸員をしている。 「待ってくださいっ、貴方、ボウケンジャーですよね」 フェイトがそう叫ぶと、男は何もないところですっころびそうになりながらも、振り返り、面倒臭そうに応えた。 「そうだ。ボウケンブラック、伊能真墨。なんで知ってるんだよ」 「それは、……私は時空管理局執務官フェイト・T・ハラウオン、サージェス財団代表ミスターボイスとの対面を希望します」 真墨の顔が微かに歪んだ。 「わけわかんねぇが……取り合えず、付いて来てもらおうか。ミスターボイスのこと、誰から聞いたか、聞かせてもらう」 「はい」 * ミュージアムから直結で繋がっているサロンルームにフェイトは通された、その道のり、真澄は口を開かず、フェイトもまた沈黙していた。 だが、不快な感じはしなかった。 苛立っているようだったが、それはフェイトへ向けられているのではなく、別の誰か――サージェスへと向けられているように感じた。 それもそうだろう、見ず知らずの少女に組織のこと――どうやらミスターボイスとは、内部で使われる暗号のようだ。――を知られているのだから、その情報管理能力を疑いたくなるのも仕方ない。 けれど、時空管理局の前には、この程度の秘密を知ることなど容易なのだ。 そのことを説明すれば、真澄の苛立ちも消えるかと思い、説明しようかとも思ったが、その前にサロンについてしまい機会は失われた。 「おいボイス、出て来い。客だ客」 乱暴な口調で叫ぶ真澄にフェイトも驚いたが、サロンにいた二人の男女も声をあげて驚いた。 ソファに座って、パソコンを弄っていた青いジャケットを着た男が立ち上がり。 「なーに怒ってんの? ていうか、お客って――この子?」 「ああそうだ」 青いジャケットの男はフェイトを見て、ふーんと感心したように唸ると、にっこり人のいい笑みを浮かべ。 「ね、かーのじょ。僕の名前は最上蒼太、蒼太って呼んでね」 「あ、はい」 「名前知りたいな、教えてくれる?」 「フェイト、フェイト・ハラウオンです」 「フェイトちゃんか、いい名前だね。後でお茶でも――」 さりげなくフェイトの手を握ろうとした蒼太の服を引き、真墨が苛立った口調で叫ぶ。 「ガキ口説いてんじゃねぇっ」 「おっと、ひどいな、お茶くらいいいじゃない」 そう言いながらも、蒼太は肩を竦め下がったのだが、給湯室にいた黄色いジャケットのフェイトより年上のツインテールの少女が、フェイトを見て、目を輝かせた。 「きゃー」 「――っ」 黄色いジャケットの間宮菜月は、怯えるフェイトに抱きついた。 「かわいいー、誰この子。ねえ真墨ぃ、この子誰ー」 頬ずりしてくる菜月にフェイトは戸惑いながらも、 「私はフェイト・T――」 「いちいち律儀に答えなくていい、いい加減話がすすまねぇっ。菜月も誰とも分からない内から抱きつくな」 「えー、だって可愛いよ。ねぇ、ズバーン?」 一瞬、菜月が言った言葉の意味が理解できなかった。なんで語尾にズバーンと付けるのだろうか、と。 その答えは―― 菜月の腰に付けられていた黄金の剣が、外れ、地面に落下する直前、変形、巨大化した。 人間の男性と同じほどの身長の、黄金魔人にフェイトは言葉を失った。 無機質ともいえる対の瞳がフェイトを捉え、 「あ……えと…はじめまして」 思わず挨拶するフェイトに、黄金魔人は。 「ズン、ズバーン。バンバン」 「え、あの」 「ズンズン、ズン、ズバーン」 「……あ、あの」 「ズバーン」 「……ずばーん」 「ズバーン、バンバン」 ズバーンは最後に一度、フェイトの肩を叩くと、これで出番が終わったというように剣に戻り、菜月の腰にくっついた。 隙をみてフェイトを誘おうとする蒼太、終始笑顔の菜月、菜月に抱きつかれ困惑したままのフェイト――真墨はうんざりしたように、ため息をつくと。 「とにかく、ボイス。いいからとっとと出て来い」 その言葉にサロンの奥の壁一面に埋め込まれた三台のモニターが、それまで外の風景を映していた状態から変化し、 「そんなに呼ばなくても聞こえてるよ」 「ならとっとと出て来い」 「もー、真墨クンは厳しいなあ」 三台の中央モニターに、銀色の逆三角錐に目と口がついたキャラクターが表示された。 それはにっこりと微笑むと、左右のモニターに表示された手を動かしながら。 「まあいいや。それよりも、フェイト・T・テスタロッサちゃん?」 「あ、はい」 「初めまして、ボクがサージェス財団代表ミスターボイスだよ」 「アナタが……」 フェイトはその姿――モニター上に表示された逆三角錐を見て、絶句した。 姿を見せない理由は理解できるが、それでもこんな形の代弁者が現れるとは思ってもみなかった。 おちょくられてるような気すらしたが、しかしボウケンジャーの反応を見る限り、この逆三角錐がミスターボイスのようだ。 フェイトは表情を改めると。 「初めまして、時空管理局執務官フェイト・テスタロッサ・ハラウオンです。今回訪問させていただいた理由は――」 「うん、それについては今からボイスが説明しようと思っていたところなんだ」 「――え?」 驚くフェイトを横目に、真墨はボイスを睨みつけ、蒼太があれと口を開いた。 「ということは、ミスターボイスはフェイトちゃんが来るの知ってたんですか」 「うん、久しぶりに会った友人に教えられてね。フェイトちゃんが来ることも、これからきみたちがどうすればいいのかも聞いたんだ」 「その友人て?」菜月が小首を傾げる。 「古い古い友人さ、てっきりもう会うこともないと思っていた……じゃあ、話そうか、あったことと起きること、それにどうすればいいかを」 * 時空管理局の中枢が存在し、次元世界の中でも高度に発達した文明を持つ世界のうちの一つ――ミッドチルダ。 その時空管理局本部にある無限書庫に、一人の少年がいた。 今は昼時、本来ならば業務時間外ではあるのだが、彼は友人であるクロノ・ハラウオンのためにあることを調べていた。 それというのも、一時間ほど前、ある次元世界に調査のため飛んだクロノから連絡があったのだ。 クロノはいつになく冷静さを逸しており、唐突に空間モニターで彼の前に現れると、一歩的にも言ったのだ。 『フェイトに伝えろっ、HGウエルズ、宇宙戦争、……だっ。いいな。これから起きようとしているのは宇宙戦そ――』 一歩的に途切れた空間モニター、それから彼側から連絡をつけようとしても、クロノ/アースラには繋がらない。 彼はクロノから与えられた言葉を、正確に伝える為、クロノの言葉を無限書庫で調べていた。 現在、片付けの最中である無限書庫からその情報を得るのには時間がいった。 ハーバート・ジョージ・ウエルズ、イギリスの小説家、SFの父とも言われている。 宇宙戦争とは、どうやら彼の著作のようだ。 宇宙戦争――1898年に書かれたSF小説。20世紀の初めに火星人が地球に到来し、地球を侵略する様子を英国人男性による回顧録書かれた作品。 それが調べ終わっても、なんでクロノがフェイトにこのことを伝えろと言ったのか分からなかったが。 「うーん、どういうことなんだろ?」 「ンー? なんか悩んでる?」 昼食から帰ってきた――もとい、フライドチキンを咥えて、現在昼食中のアルフが彼に訊いた。彼がそれを伝えると、アルフは簡単に答えた。 「あれじゃないの? ほら、フェイトたちが調査にいったのって、あっちの世界の火星でしょ。ほらその小説の舞台にさ」 「あ、火星」 「だから、その小説みたいなことが起きるんじゃないの……えーと、火星から、侵略者?」 「そんなっ」 驚いたが、しかしクロノは冗談をいうような男ではない、少なくとも下らない冗句は。 だから、アルフの予想が正しければ―― 「空間モニター……フェイトっ」 空間モニターを表示させたが、 「え?」 「うそ」 フェイトにも通じず、砂嵐のような画面を表示するばかり。 だが、フェイトたちのいる世界に通じないような距離ではない、それが示すのは何らかの異変が起きているということ。 だが、既にクロノからヒントは与えられている、打開策は存在するということだ、フェイトにさえ伝えられれば。 彼/ユーノ・スクライアは無限書庫から出ると、アルフに 「通信が回復するのを待つより、クロノたちに応援を派遣した方が良さそうだ」 「そだね。じゃあ、あたしが管理局の方に連絡入れといてあげるから、ユーノはなのは呼んどいて」 「――ふぇ?」 「必要でしょ、こういう時にはさ」 アルフはにひっと笑うと、振り返り管理局へ報告へ行こうとしたが、足を止めた。 そこには、一人の少女と四人の騎士が立っていた。 「んー? なんの話ぃ?」 * 「明石クンたちから連絡があったのは、今から二日前――連絡というべきではないのかもしれない。送られてきたのはほんの一瞬の映像」 ボイスが消え、その変わりに映像が映し出された、それを見て真墨は首を傾げた。 「なんだこりゃ」 「岩……どこかの星ですか?」 蒼太が訊くと、映像が拡大。それを見て、菜月が短い悲鳴をあげた。 何か分からなかったそれは、隙間なく群がる赤色の蛸。 「なんだよ、これ」 真墨が先程と同じことを呟いた、それへフェイトが思わず口走った。 「まさか、……火星人」 ボウケンジャー三名が、思わずフェイトを振り返った。 沈黙する四人。 蒼太、軽やかに笑うと。 「まっさか、そんなわけないですよね。ミスターボイス」 「それが、そのまさかなんだ」 ボイスは映像を消すと、再び、自らをモニターを映すと。 「今君たちが見たのは火星人、火星人と呼称される存在で、彼らの目的はこの地球を侵略することだ」 「冗談だろ」 「そう言いたい所なんだけど、今回ばかりは無理なんだ。それにこうして話している暇はない、彼らの先遣隊は既に派遣されている、ボウケンジャー、火星人を迎え撃ってくれ」 真墨はチッと舌打つと、モニターに背を向け。 「ボウケンジャー、出動だ」 「もう少し詳しく聞かせて欲しいところなんだけど」 「グチグチ言うな蒼太」 「はいはいってね」 歩いていく三人を見ていたフェイトへ、ボイスが言った。 「できたら、君の力を貸して欲しい」 フェイトは青い瞳でボイスを見据えた、言葉の裏を知りたかったからだが、傀儡人形をいくら睨んでもそんなものは解らない。 「君が乗って来たアースラとも連絡が取れなくなっている、彼らを救うためには今現在、この状況を打破する必要がある、だから――」 「分かりました」 フェイトは頷いた、現在起こっていることは、明らかな異常事態だ。これを放っておけるほど、フェイトはのんきではなく。 フェイトは困っている人たちを見捨てられるような少女ではない。 自らの力できることならば、全力を尽くすのがフェイト・T・ハラウオンという少女なのだ。 「微力ですが、協力します」 「ありがとう」 ボイスの礼にフェイトは再び頷き、ボウケンジャーの後を追った。 誰もいなくなったサロンに、ぽつり、ボイスの呟きが響いた。 「間にあってくれよ、鋼造クン」 * 火星から向かってきているという、火星人の部隊が降下するであろうポイントは既に監視衛星からの映像で判明していた。 各国は部隊を展開しようとしていたが、火星人を迎え撃つという、夢のような話にそれは遅遅として進んでいない。 火星人の第一降下ポイントは――ロンドン。 十台のビーグルからなるアルティメットダイボウケンは、その紅の翼で向かっていたが、しかし間に合いそうになかった。 既に空には幾筋もの降下の帯が流れていた。 「くそ、間に合わないってのかよ」 ボウケンブラックに変身した真墨がハンドルの上部を叩いた。 「でもこれ以上速くは飛べないよ」 ボウケンイエロー/菜月がおろおろしながら言う。 「どうすれば、いいんだ」 ボウケンブルー/蒼太がそう言った時、シートに腰掛ていたフェイトが立ち上がり、コクピットから出て行こうとした。 それにボウケンブラックが気づき。 「おい、どうする気だ」 訊くと。 フェイトは桜色の唇に、うっすら笑みを浮かべ。 「私が先行します」 「先行? どうやって」 フェイトは祈願型インテリジェントデバイス〈バルディッシュ・アサルト〉を取り出し。 「こう見えても私、魔導師なんです」 「――え?」 「バルディッシュ、セットアップ!」 フェイトの言葉に反応し、〈バルディッシュ・アサルト〉が黄金の煌きを見せる。 閃光が消えると、そこには先程までとは、全く違う姿のフェイトが立っていた。 「うわ、すご」 菜月が素直な感想を洩らした。 黒依の上から黒い外套を纏い、金の髪は左右で二つにまとめられ、その手にはインテリジェンスデバイス〈バルディッシュ・アサルト〉その真の姿、ベルカ式カートリッジシステム『CVK792-R』を組み込んだ閃光の戦斧。 真墨はその姿を見て、マスクの下でふんと鼻を鳴らすと。 「任せる」 「了解」 * フェイトはアルティメットダイボウケンから出ると、風向きを確認しながら、飛び降り飛翔する。 「ブリッツアクション」 短い詠唱、 「Yes Sir !」 直後、フェイトは閃光の弾丸と化した。 敵の数は目視で分かるだけで十五、それを地上に落着する前に撃墜しなければならない。 幅十メートルクラスの弾丸が地球を穿てば、どれだけの被害が出るか。 なんとしても阻止しなければならない、フェイトは火星人の降下カプセルの下方に回りこむと、迎え撃つべく。 黄金のが展開環状魔法陣が精製される、魔力光が溢れる。ベルカ式カートリッジシステムが唸りをあげ、連続的にロード/ロード/ロード/ロード。 「いくよ、バルディッシュ。――撃ち貫け、轟雷! プラズマ・スマッシャー!!」 フェイトの叫びが、バルディッシュ・アサルトを介し、咆哮する。 純粋魔力はまるで下から上へと突き上げる、逆転した稲光のように迸り、火星人の降下カプセルを飲み込んだ。 フェイトは勝利を確信した。 必要ないかとも考えたが四発ものロード、状態異常の魔力を注ぎ込んだAAAクラスの中・近距離砲撃魔法。 ――だが、 「……なにっ」 火星人の降下カプセルは確かに、フェイトの攻撃によって粉々になったのだが、それはあくまで外殻でしかなかったのだ。 殻を破ってその中から、入りきるわけのない量の同様の降下カプセルが出てきた。 「――なっ。圧縮魔法?」 迎撃を予測していた火星人たちは、事前にくす玉方式での魔術的降下カプセルの精製に成功していたのだ。 迫るカプセル群を前に、フェイトは一瞬対応が遅れた。 それは全力に近い形で魔法を撃ち、その上で予測を大幅に凌駕された結果。 「――くっ」 『アルティメットブラスター!』 フェイトに衝突しそうな降下カプセルが、アルティメットダイボウケンの放ったブラスターによって砕け散り。 破片が降り注ぐ前に、アルティメットダイボウケンがフェイトを庇った。 『大丈夫か』 フェイトはアルティメットダイボウケンの手に乗ると、真墨の声に頷き。 「すいません、失敗しました」 『謝るのは後だ。今は連中を止めるのが先決だ』 「了解」 フェイトは手から飛び降りると、再び降下カプセルを追った。 既に降下カプセルは地表まで後数百メートルもなかった。 「ジャケットパージ、ソニックフォーム!」 フェイトを鎧っていたバリアジャケットが弾け、黒衣だけになり、光速で降下カプセルを追撃する。 それは風よりも早く、瞬きよりも速く、刹那よりも迅い。それは雷迅。 「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」 既にフェイトの発動できる魔法では、地表にダメージを与えない限り、降下カプセル全てを殲滅することはできない。 なのはならば、あれらだけを狙い撃つことも可能かも知れない。 ここになのはがいれば、そう願っても――なのははいない。 今、フェイトにできることは、フェイトにできる限りのことをすることだけ。 環状魔方陣が展開しながら、バルディッシュをザンバーフォームへ。 「アルカス・クルタス・エイギアス……」 一機の降下カプセルにザンバーの光の刃を突き立てると、 「疾風なりし天神、今導きのもと撃ちかかれ。バルエル・ザルエル・ブラウゼル」 ザンバーをアックスモードへ、ロード、爆発する降下カプセルの上で、次なる魔法を発動。 「フォトンランサー・ファランクスシフト!」 精製される光球は五十、そこから同高度にいるカプセルに向かって、斉射。 次々にカプセルが蜂の巣になり、爆発、炎上。 圧倒的火力の前に破壊される侵略軍。 撃ち尽くすと、フェイトは爆発するカプセルの上から飛び上がった。 見ればアルティメットダイボウケンも落としていたようで、半数以上のカプセルを破壊することができたが、まだ半数以上が残っていた。 そしてそれらは、地表に衝突した。 「Defensor Plus」 バルディッシュ・アサルトが主を護るべく、自動詠唱を行った。 この一撃で、逃げ遅れたロンドン市民の三分の一が死亡した。 「……遅かったの」 『まだだ、まだ終わってないっ!』 続く [目次へ ◆DppZDahiPc氏][次へ リリカルボウケンジャー2話]
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Permanent Card 極星帝国 3F/2C +2/+2/- サーチ(“アルナージ”) このカードを“アルナージ”にセット宣言する場合、≪このカードのコスト≫は手札に戻る。 このカードが“アルナージ”にセットされている場合、≪このキャラクター≫は+1/+1/+1され、≪このキャラクターのアタック宣言に対してガード宣言するか、このキャラクターにガード宣言されたキャラクター≫にXダメージを与える。Xはこのキャラクターのパワーに等しい。 No.EX0449 Rarity R Illustrator 緋賀ゆかり Expansion エキストラエクスパンション 魔法戦記リリカルなのはForce カード考察
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ヴァイスサイド 魔法少女リリカルなのはA sカードリスト ブースター トライアルデッキ プロモーションカード 総評 ブースター 番号 種類 レアリティ 色 カード名 レベル/コスト スペック 特徴 NA/W12-001 キャラ RR 黄 “お姉さん”アリシア 1/1 2500/1/1 《特徴なし》? NA/W12-002 キャラ RR SP 黄 “雷光”フェイト 3/2 9500/2/1 《魔法》? 《クローン》? NA/W12-003 キャラ R SR 黄 “ヴォルケンリッター”シグナム 0/0 2500/1/0 《魔法》? 《武器》? NA/W12-004 キャラ R 黄 使い魔 リニス 0/0 2500/1/0 《使い魔》? 《動物》? NA/W12-005 キャラ R 黄 “強敵”シグナム 1/0 5000/1/0 《魔法》? 《武器》? NA/W12-006 キャラ R SP 黄 武人 シグナム 2/1 8000/1/1 《魔法》? 《武器》? NA/W12-007 キャラ R 黄 フェイト with バルディッシュ・アサルト 2/1 7500/1/1 《魔法》? 《クローン》? NA/W12-008 キャラ U 黄 剣の騎士 シグナム 0/0 500/1/0 《魔法》? 《武器》? NA/W12-009 キャラ U 黄 中学三年生のフェイト 0/0 1000/1/0 《魔法》? 《クローン》? NA/W12-010 キャラ U 黄 “友達”フェイト 1/0 500/1/0 《魔法》? 《クローン》? NA/W12-011 キャラ U 黄 ソニックフォーム フェイト 2/2 10000/2/1 《魔法》? 《クローン》? NA/W12-012 キャラ U 黄 “突貫”アルフ 2/2 7000/2/1 《使い魔》? 《動物》? NA/W12-013 キャラ C 黄 “フェイト・T”リーゼロッテ 0/0 1500/1/0 《双子》? 《使い魔》? NA/W12-014 キャラ C 黄 超アバウト アルフ 0/0 2500/1/0 《使い魔》? 《動物》? NA/W12-015 キャラ C 黄 戸惑うフェイト 0/0 3000/1/0 《魔法》? 《クローン》? NA/W12-016 キャラ C 黄 フェイトVSシグナム 1/0 4000/1/0 《魔法》? 《武器》? NA/W12-017 キャラ C 黄 戯れるフェイト&アルフ 1/1 7000/1/0 《クローン》? 《使い魔》? NA/W12-018 キャラ C 黄 優しい母親 プレシア 1/1 2000/1/1 《魔法》? NA/W12-019 キャラ C 黄 “八神家”シグナム 2/2 9000/2/1 《魔法》? 《武器》? NA/W12-020 イベント U 黄 CVK792導入 1/1 EV NA/W12-021 イベント U 黄 主への想い 1/3 EV NA/W12-022 イベント C 黄 怒涛の質問攻め 2/0 EV NA/W12-023 クライマックス CR SR 黄 雷光一閃 CX 1・炎 NA/W12-024 クライマックス CC 黄 理想との決別 CX 2 NA/W12-025 クライマックス CC 黄 シュツルムファルケン CX 1・風 NA/W12-026 キャラ RR 緑 アースラのNo.3 エイミィ 1/0 3500/1/0 《特徴なし》? NA/W12-027 キャラ RR 緑 名コンビ クロノ&エイミィ 2/2 8000/2/1 《魔法》? 《武器》? NA/W12-028 キャラ R 緑 はやて&すずか 0/0 500/1/0 《本》? 《動物》? NA/W12-029 キャラ R SR 緑 アリサ&ちびアルフ 1/0 5000/1/0 《動物》? 《使い魔》? NA/W12-030 キャラ R SP 緑 “友達”すずか 1/0 3000/1/0 《動物》? NA/W12-031 キャラ R SP 緑 執務官 クロノ 1/1 6500/1/0 《魔法》? 《武器》? NA/W12-032 キャラ R 緑 “友達”アリサ 2/2 8500/2/1 《動物》? NA/W12-033 キャラ U 緑 初めての学校 フェイト 0/0 2000/1/0 《魔法》? 《クローン》? NA/W12-034 キャラ U 緑 仕切り屋 アリサ 0/0 2000/1/0 《動物》? NA/W12-035 キャラ U 緑 マリエル・アテンザ 1/1 1500/1/1 《メガネ》? NA/W12-036 キャラ U 緑 仲良し四人組 2/1 4000/1/1 《魔法》? 《動物》? NA/W12-037 キャラ U 緑 未来を変える力 クロノ 3/2 10000/2/1 《魔法》? 《武器》? NA/W12-038 キャラ C 緑 エイミィ・リミエッタ 0/0 500/1/0 《特徴なし》? NA/W12-039 キャラ C 緑 中学三年生のアリサ&すずか 0/0 2500/1/0 《動物》? NA/W12-040 キャラ C 緑 “お兄ちゃん”クロノ 0/0 2500/1/0 《魔法》? 《武器》? NA/W12-041 キャラ C 緑 優しい母親 リンディ 0/0 3000/1/0 《魔法》? 《お弁当》? NA/W12-042 キャラ C 緑 アリサ&すずか 1/0 4500/1/0 《動物》? NA/W12-043 キャラ C 緑 無類の甘党 リンディ 2/1 6000/1/1 《魔法》? 《お茶》? NA/W12-044 キャラ C 緑 読書好き すずか 2/1 8500/1/1 《動物》? 《本》? NA/W12-045 イベント U 緑 お宅訪問 1/0 EV NA/W12-046 イベント U 緑 遠い日の思い出 1/1 EV NA/W12-047 イベント C 緑 育んだ友情 2/2 EV NA/W12-048 クライマックス CR SR 緑 アルカンシェル CX 袋 NA/W12-049 クライマックス CC 緑 エターナルコフィン CX 2 NA/W12-050 クライマックス CC 緑 早く良くなってね♡ CX 宝 NA/W12-051 キャラ RR SP 赤 紅の鉄騎 ヴィータ 1/0 4500/1/0 《魔法》? 《人形》? NA/W12-052 キャラ RR SR 赤 “揺るぎ無い意志”なのは 3/2 10000/2/1 《魔法》? 《武器》? NA/W12-053 キャラ R 赤 中学三年生のなのは 0/0 500/1/0 《魔法》? 《武器》? NA/W12-054 キャラ R 赤 “再会”なのは&フェイト 0/0 2000/1/0 《魔法》? 《クローン》? NA/W12-055 キャラ R 赤 傷ついたなのは 1/1 5500/1/1 《魔法》? 《武器》? NA/W12-056 キャラ R 赤 闇の書の騎士 ヴィータ 2/1 7000/1/1 《魔法》? 《人形》? NA/W12-057 キャラ R SP 赤 なのは with レイジングハート・エクセリオン 2/2 7500/2/1 《魔法》? 《武器》? NA/W12-058 キャラ U 赤 なのはVSヴィータ 0/0 2500/1/0 《魔法》? 《人形》? NA/W12-059 キャラ U 赤 ヴィータ&ザフィーラ 1/0 3000/1/0 《魔法》? 《使い魔》? NA/W12-060 キャラ U 赤 ユーノ・スクライア 1/1 5500/1/0 《魔法》? 《動物》? NA/W12-061 キャラ U 赤 後方支援 ユーノ 2/1 5500/1/1 《魔法》? 《動物》? NA/W12-062 キャラ U 赤 “八神家”ヴィータ 2/2 8500/2/1 《魔法》? 《人形》? NA/W12-063 キャラ C 赤 なのは&ユーノ 0/0 1000/1/0 《魔法》? 《動物》? NA/W12-064 キャラ C 赤 “ヴォルケンリッター”ヴィータ 0/0 1500/1/0 《魔法》? 《武器》? NA/W12-065 キャラ C 赤 ちびっこ ヴィータ 0/0 3000/1/0 《魔法》? 《人形》? NA/W12-066 キャラ C 赤 “高町なのは”リーゼアリア 1/0 3500/1/0 《双子》? 《使い魔》? NA/W12-067 キャラ C 赤 祝福するなのは 1/0 5500/1/0 《魔法》? 《武器》? NA/W12-068 キャラ C 赤 古代史学者 ユーノ 2/1 2500/1/1 《魔法》? 《本》? NA/W12-069 キャラ C 赤 手加減なし!なのは 2/1 8000/1/1 《魔法》? 《武器》? NA/W12-070 イベント U 赤 魔法訓練 3/1 EV NA/W12-071 イベント U 赤 はやてからの贈り物 1/1 EV NA/W12-072 イベント C 赤 超長距離砲撃 2/3 EV NA/W12-073 クライマックス CR SR 赤 エクセリオンバスター CX 扉 NA/W12-074 クライマックス CC 赤 I can be shot CX 2 NA/W12-075 クライマックス CC 赤 轟天爆砕 CX 2 NA/W12-076 キャラ RR SR 青 “管制人格”闇の書の意志 1/1 5000/1/1 《魔法》? 《本》? NA/W12-077 キャラ RR SP 青 マスター はやて 3/2 10000/2/1 《魔法》? 《本》? NA/W12-078 キャラ R 青 病室のはやて 0/0 2000/1/0 《本》? NA/W12-079 キャラ R 青 レティ・ロウラン 0/0 2500/1/0 《魔法》? 《メガネ》? NA/W12-080 キャラ R SP 青 湖の騎士 シャマル 1/0 3000/1/0 《魔法》? NA/W12-081 キャラ R 青 夜天の王 はやて 2/1 2500/1/1 《魔法》? 《本》? NA/W12-082 キャラ R 青 “ヴォルケンリッター”シャマル 2/2 7500/2/1 《魔法》? NA/W12-083 キャラ U 青 はやての主治医 石田 幸恵 0/0 1000/1/0 《特徴なし》? NA/W12-084 キャラ U 青 “ヴォルケンリッター”ザフィーラ 0/0 1000/1/0 《使い魔》? 《動物》? NA/W12-085 キャラ U 青 盾の守護獣 ザフィーラ 1/0 4000/1/0 《使い魔》? 《動物》? NA/W12-086 キャラ U 青 中学三年生のはやて 1/1 2500/1/1 《魔法》? 《本》? NA/W12-087 キャラ U 青 “強く支えるもの”リインフォース 2/1 6000/1/1 《魔法》? 《本》? NA/W12-088 キャラ C 青 歴戦の勇士 ギル・グレアム 0/0 500/1/0 《魔法》? NA/W12-089 キャラ C 青 世界で一番幸福な魔導書 リインフォース 0/0 1000/1/0 《魔法》? 《本》? NA/W12-090 キャラ C 青 “八神家”シャマル 0/0 3000/1/0 《魔法》? NA/W12-091 キャラ C 青 リーゼアリア&リーゼロッテ 1/0 4500/1/0 《双子》? 《使い魔》? NA/W12-092 キャラ C 青 “八神家”はやて 1/0 5500/1/0 《本》? NA/W12-093 キャラ C 青 “八神家”ザフィーラ 2/1 1500/1/0 《使い魔》? 《動物》? NA/W12-094 キャラ C 青 仮面の戦士 2/1 8500/1/1 《双子》? 《仮面》? NA/W12-095 イベント U 青 闇の書の呪い 2/0 EV NA/W12-096 イベント U 青 旅の鏡 3/5 EV NA/W12-097 イベント C 青 守護騎士プログラム 1/2 EV NA/W12-098 クライマックス CR 青 癒しの力 CX 本 NA/W12-099 クライマックス CC SR 青 覚醒の時 CX 2 NA/W12-100 クライマックス CC 青 愛する者の為に CX 2 トライアルデッキ トライアルデッキ 魔法少女リリカルなのはA s 番号 種類 レアリティ 色 カード名 レベル/コスト スペック 特徴 封入数 NA/W12-T01 キャラ TD 黄 戸惑うフェイト 0/0 3000/1/0 《魔法》? 《クローン》? 4 NA/W12-T02 キャラ TD 黄 剣の騎士 シグナム 0/0 500/1/0 《魔法》? 《武器》? 4 NA/W12-T03 キャラ TD 黄 フェイトVSシグナム 1/0 4000/1/0 《魔法》? 《武器》? 2 NA/W12-T04 キャラ TD 黄 優しい母親 プレシア 1/1 2000/1/1 《魔法》? 2 NA/W12-T05 キャラ TD 黄 戯れるフェイト&アルフ 1/1 7000/1/0 《クローン》? 《使い魔》? 2 NA/W12-T06 キャラ TD 黄 “八神家”シグナム 2/2 9000/2/1 《魔法》? 《武器》? 4 NA/W12-T07 キャラ TD 黄 ソニックフォーム フェイト 2/2 10000/2/1 《魔法》? 《クローン》? 2 NA/W12-T08 クライマックス TD 黄 シュツルムファルケン CX 1・風 2 NA/W12-T09 キャラ TD 青 世界で一番幸福な魔導書 リインフォース 0/0 1000/1/0 《魔法》? 《本》? 2 NA/W12-T10 キャラ TD 青 “八神家”シャマル 0/0 3000/1/0 《魔法》? 4 NA/W12-T11 キャラ TD 青 歴戦の勇士 ギル・グレアム 0/0 500/1/0 《魔法》? 2 NA/W12-T12 キャラ TD 青 “八神家”はやて 1/0 5500/1/0 《本》? 4 NA/W12-T13 キャラ TD 青 “八神家”ザフィーラ 2/1 1500/1/0 《使い魔》? 《動物》? 2 NA/W12-T14 イベント TD 青 闇の書の呪い 2/0 EV 2 NA/W12-T15 クライマックス TD 青 愛する者の為に CX 2 2 NA/W12-101 キャラ TD 黄 戦場の兄妹 1/0 5000/1/0 《魔法》? 《クローン》? 1 NA/W12-102 キャラ TD 青 はやて&シグナム 1/0 5000/1/0 《本》? 《武器》? 1 NA/W12-103 キャラ TD 黄 かけがえのない友情 なのは&フェイト 0/0 2000/1/0 《魔法》? 《クローン》? 2 NA/W12-104 キャラ TD 青 戦闘服 なのは&フェイト&はやて 2/2 8500/2/1 《魔法》? 《武器》? 2 NA/W12-105 クライマックス TD 青 スタンバイ・レディ CX 2 4 トライアルデッキ 魔法少女リリカルなのはA s PORTABLE -THE GEARS OF DESTINY- 番号 種類 レアリティ 色 カード名 レベル/コスト スペック 特徴 封入数 NA/W12-G01 キャラ TD 赤 クロノ・ハラオウン 0/0 1000/1/0 《魔法》? 《武器》? 2 NA/W12-G02 キャラ TD 赤 片時の夢 リニス 0/0 2000/1/0 《使い魔》? 《動物》? 2 NA/W12-G03 キャラ TD 赤 スクライアの子 ユーノ 0/0 2500/1/0 《魔法》? 《動物》? 2 NA/W12-G04 キャラ TD 赤 夢の残骸 プレシア 0/0 2500/1/0 《魔法》? 2 NA/W12-G05 キャラ TD 赤 ストライクアーツ ヴィヴィオ 0/0 2500/1/0 《魔法》? 《オッドアイ》? 1 NA/W12-G06 キャラ TD 赤 サポート役 アルフ 0/0 3000/1/0 《使い魔》? 《動物》? 2 NA/W12-G07 キャラ TD 赤 “時の操手”キリエ 1/0 4500/1/0 《魔法》? 《時間》? 2 NA/W12-G08 キャラ TD 赤 覇王流 アインハルト 2/1 2500/1/1 《魔法》? 《オッドアイ》? 1 NA/W12-G09 キャラ TD 赤 高速戦魔導師 フェイト 3/2 9500/2/1 《魔法》? 《クローン》? 2 NA/W12-G10 キャラ TD 赤 砲撃魔導師 なのは 3/2 10000/2/1 《魔法》? 《武器》? 2 NA/W12-G11 クライマックス TD 赤 さよならリニス CX 2 2 NA/W12-G12 クライマックス TD 赤 未来に帰る方法 CX 扉 2 NA/W12-G13 キャラ TD 青 “八神家”リインフォース 0/0 1500/1/0 《魔法》? 《本》? 2 NA/W12-G14 キャラ TD 青 双子の使い魔 リーゼアリア&リーゼロッテ 0/0 2500/1/0 《双子》? 《使い魔》? 2 NA/W12-G15 キャラ TD 青 天邪鬼 ヴィータ 1/0 1500/1/0 《魔法》? 《人形》? 2 NA/W12-G16 キャラ TD 青 参謀格 シャマル 1/0 3000/1/0 《魔法》? 2 NA/W12-G17 キャラ TD 青 “運命の守護者”アミティエ 1/0 4500/1/0 《魔法》? 《時間》? 2 NA/W12-G18 キャラ TD 青 寡黙な性格 ザフィーラ 1/0 5500/1/0 《使い魔》? 《動物》? 2 NA/W12-G19 キャラ TD 青 バトルマニア シグナム 1/0 6500/1/0 《魔法》? 《武器》? 2 NA/W12-G20 キャラ TD 青 砕け得ぬ闇 1/1 7000/1/1 《魔法》? 1 NA/W12-G21 キャラ TD 青 モード黒騎士 トーマ 1/1 7000/1/1 《武器》? 《本》? 1 NA/W12-G22 キャラ TD 青 魔導騎士 はやて 2/1 4500/1/1 《魔法》? 《本》? 2 NA/W12-G23 キャラ TD 青 闇統べる王 2/2 8000/2/1 《魔法》? 《本》? 2 NA/W12-G24 キャラ TD 青 星光の殲滅者 2/2 8500/2/1 《魔法》? 《武器》? 2 NA/W12-G25 キャラ TD 青 雷刃の襲撃者 2/2 10000/2/1 《魔法》? 《武器》? 2 NA/W12-G26 クライマックス TD 青 姉妹の和解 CX 2 2 NA/W12-G27 クライマックス TD 青 闇王復活! CX 本 2 プロモーションカード 番号 種類 レアリティ 色 カード名 レベル/コスト スペック 特徴 NA/W12-106 キャラ PR 青 はやて&ヴィータ&シグナム 1/1 4000/1/1 《魔法》? 《本》? NA/W12-107 キャラ PR 赤 確かな想い なのは&フェイト 1/1 3000/1/1 《魔法》? 《クローン》? NA/W12-108 キャラ PR 赤 仲良し? なのは&ヴィータ 0/0 2000/1/0 《魔法》? 《人形》? NA/W12-109 キャラ PR 黄 狭間の夢 フェイト&アリシア 1/0 5000/1/0 《魔法》? 《クローン》? NA/W12-110 キャラ PR 赤 まっすぐな心 なのは 0/0 2000/1/0 《魔法》? 《武器》? NA/W12-111 キャラ PR 赤 ヴィヴィオ&アインハルト&キリエ 1/1 2000/1/1 《魔法》? 《オッドアイ》? NA/W12-112 キャラ PR 青 トーマ&リリィ&アミティエ 2/1 7500/1/1 《魔法》? 《本》? NA/W12-113 キャラ PR 青 -THE GEARS OF DESTINY- 2/1 2500/1/1 《魔法》? 《武器》? 「A s」はW-12となっているが、実際には11番目に発売されたタイトルである。(W-11はAB)。この逆転は、ヱヴァ(S-12)とミルキィ(S-11)でも見られる。 「StrikerS」に続き、トライアルデッキ・ブースターにアニメ絵(公式版権絵)が収録されなかったエキスパンションでもある。ただし後述の「なのはA s GOD」のカードは、同ゲームの書き下ろしという公式版権絵が用いられた。 「なのはA s GOD」トライアルデッキはヴァイス唯一、一般販売されなかった構築済みデッキである。(2015年現在)同名PSPゲームの初回特典として収録する為、単品として購入する事ができないが、公式にはPRカードではなく、通常のトライアルデッキからのカードとして扱い。 その性質上、このデッキはヴァイス初めての「封入されているカードは全てTD限定」のトライアルデッキである、さらに、トライアルデッキ初である、レベル3キャラが2種類付いてくる。
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こんにちわ、私高町なのは!ナンバーズ、もうあなたたちを許さない ナンバーズのだれか「あたしたちが・・・あたしたちが負けるはずは・・・」 次回、リリカルなのはSts 「吹き荒れる真の力!!ナンバーズ粉砕 」 ヴィヴィオ「ママ!!ナンバーズなんかやっつけちゃえ!」 こんにちわ、私高町なのは スカリエッティ、いい加減にしなさい!罪もない人々を苦しめて・・ スカ「バ・・・馬鹿な!!ゆりかごのちからが通じないだと!?」 次回、リリカルなのはSts「ゆりかごをko!!たった2発の超鉄拳 」 ヴィヴィオ「ママ!はやくあたしのところへ来て!!」 こんにちわ、私なのは!なんてことなの・・・ゆりかごがさらにパワーアップして復活するなんて・・ スカ「ふふふ・・・もうお遊びはしない 地球ごと消えてなくなれ」 次回、リリカルなのはSts「白昼の悪魔!!恐怖はより完璧に 」 ヴィヴィオ「みんな死んじゃうなんていやだよぉ」 私なのは!ヴィヴィオ、あなたは私より強いのよ・・自分の力を信じて!爆発させるの!力を! ヴィヴィオ「わかったママ!やってみる!」 次回、リリカルなのはSts「なのはからヴィヴィオへ…母の魂は伝わった 」 ヴィヴィオ「いくよスカリエッティ!これで終わり!」 私なのは!私は死んじゃったけど、みんなならこれから何がおきても大丈夫だよね フェイト「ありがとうなのは・・・あなたがいたからみんな頑張れた・・」 次回、魔法少女リリカルなのはSts最終回「戦いは終った…ありがとう高町なのは」 ヴィヴィオ「ママ・・・いつかもどってくるよね」 単発総合目次へ DB系目次へ TOPページへ